中国遼寧省:農地強制収用に農民ら集団抗議、警察千人出動で死傷者

2007/06/29
更新: 2007/06/29

【大紀元日本6月29日】6月22日、遼寧海城二台子村の農民約800人は、土地強制収用問題をめぐって千人以上の警官と衝突した。死傷者が出たようだ。

6月26日の電話取材では、現地の村民らは事件の発端と全容を以下のように語った。

同村には元々4000ムー(約267ヘクタール)の農地があったが、共産党委員会書記を兼務する王正明村長などが無断で不動産開発業者に売却したため、いまでは、5分の1しか残っていない。今年3月に、開発業者が村で施工し始めたときに、農民たちは初めて、自分たちの農地が売却されたのを知った。また、それで得た金を含め、巨額の村の資金が使途不明になっている。

行政府の汚職に怒り心頭の農民たちは、現地政府に陳情し、問題の究明・解決を要請したが、まったく取り合ってもらえなかった。その上、党書記の王正明村長は、警察を動員し、土地の強制収用に走った。その間、農民らは殴られる、蹴られるなどの暴力を受け、負傷者が多く出た。

農地を守る農民と警察が対峙(大紀元)

4月中旬、二台子村503世帯の農民4千人以上は、王村長を、村民に暴力を振るい、婦女を強姦し、農地を違法売買、農地・果物農園を破壊するなどの罪で集団提訴した。

また、村民によると、王村長は、犯罪の前科があり、強姦と強盗罪で有期懲役を科せられ、5年間服役していた。釈放された後、様々な裏関係を通じて、村長の座についた。また、その親戚一族も皆、村の要職に任命された。

一族は金儲けのために、村の資産を私物化し、村を通る楊柳河の砂を大量に発掘・販売した。1972年から、砂地に作られた果物農園約400ムー(約27ヘクタール)に植えられていた果樹3500株が全滅し、河北部に位置する農地500ムー(約33ヘクタール)と植林地300ムー(約20ヘクタール)も破壊された。現地農民に1億元(約14億円)近くの経済損失をもたらした。

さらに、楊柳河で砂を大量に採取したため、河底が凸凹になり、安全標識をまったく設置しなかったため、これまでに5人の未成年者を含め7人の村民が河で溺死した。遺族は損害賠償をもらえなかった。

そのような状況で、村民たちの怒りが頂点に達し、現地政府に幾度も陳情を試みたが、問題が解決されていないため、最近になって、村民代表170人が北京に向かい、中央指導部に陳情すると決断した。それに対し、現地政府は警察を大量に導入、代表らに暴行を加え、負傷し病院で治療を受けている者もいる。また、一部の代表は途中で強制送還された。

22日午後5時ごろ、村民約800人近くは、村の共産党委員会の前に集結し、強制送還される代表を迎えようとしたが、現地政府が事態の拡大を防ぐために、代表らは途中で勾留し、村に帰さなかった。午後8時になっても、代表の姿が見えないため、村民たちの怒りが爆発し、付近の海城駅に駆けつけ、一部の人はレールの上に横たわるなどして抗議した。現地政府は警官千人以上を動員し、暴力を持って弾圧した。双方が衝突する中、村民の女性が列車にはねられ、死亡した。もう1人村民女性は大腿骨骨折の大ケガを負った。

村の党委員会前に集結した村民(大紀元)

農民によると、現在、村全体に戒厳令が敷かれ、警察が毎日村中を巡回し、村民らの自宅を家宅捜査し、パソコンに保存されている情報まで押収したという。

取材の最後に、村民らは、外部の関心を呼びかけ、「一日も早く悪の勢力を根絶させたい」「庶民の無念を晴らしてください」などと懇願、「行政府の幹部は互いに庇護し合うために、庶民には生きる道が残されていない」と心中を語った。

(記者・辛霏、展望)

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