政権獲得六十周年、中共の厄年か

2009/01/18
更新: 2009/01/18

【大紀元日本1月18日】中国共産党が政権獲得60周年を迎える本年、旧暦新年(1月26日)を前に、中国のネット上で「山寨春晩」という言葉が話題を呼んでいる。「山寨」というのは、法的に認められていない、または権威を挑戦する非権威的な存在の意味。中央テレビ局の旧暦大晦日の定例番組「春節晩会」の政治美化目的に反発し、北京のある民間人が昨年11月、造反版「春節晩会」の制作を提案、大晦日に全国中継放送し、国家宣伝機構のシンポルである中央テレビ局への挑戦を宣告した。このアイデアに各地から熱い反響が見られ、幾つもの「山寨春晩」の娯楽番組制作が北京や上海などに現れた。

短い一ヶ月でこれらの制作に数千の番組が投稿され、民間企業から数百万人民元の協賛金が届けられ、ある地方テレビ局に衛星中継放送の話も提示されたが、国家放送局により禁止された。頻発する群集抗議事件、経済悪化に伴う高い失業率、民間の当局に対する憎しみが高まる状況で、造反を連想させる「山寨」という言葉に、中共当局は耳が痛いであろう。

「山寨」ブームの2008年

2008年中国大陸で多くの災難事件が頻発した。国威高揚の頂点である北京五輪も、当局が望んだ求心力をもたらさなかった。五輪後、抑制された民間の不満感情が、有毒乳製品の告発により爆発し、京政府に対抗する群集事件は一気に上昇した。政府の理不尽さに反発して警察数人を殺した青年・楊佳が、民衆から「英雄」とみなされ、死刑判決を受けた楊佳を記念する活動も当局に禁止されたにもかかわらず全国各地で行われていた。

当局に対抗する意識が、2008年の流行言葉の「山寨」ブームからも伺える。市販の携帯電話をコピーした商品は「山寨手機」、カバーした曲は「山寨曲」、中央テレビの番組「百家講坛」を挑発する「山寨百家講坛」など、法的に認証されない、または権威性に対抗するニュアンスを込めるこの言葉がメディアやインターネットで広く使われている。中国古典名作「水浒伝」から由来するこの言葉は、北宋時代末期に、朝廷の腐敗および汚職官吏たちがはびこる世相の中、悪徳官吏を打倒し救国を目指す英雄好漢たちが梁山泊という山の中に集まって無法者の集団を形成し朝廷と対抗した歴史を物語る。

「山寨春晩」に続き、1月12日、22人の中国人学者がネット上、「中央テレビをボイコット、洗脳に反対」との連名公開状を発表した。署名者の凌沧洲(北京メディア人)が、公開書簡の目的は、CCTVが公共テレビ資源を独占し、視聴者を汚染する「報道番組」および「宣伝番組」をボイコットする意思表明であると話した。署名者の温克堅(杭州市在住)が、「山寨春晩」の中央テレビへの挑戦は多くのネットユーサーらに受け入れられ、民間で「共産党と政府を見捨て、民衆自らの娯楽を楽しむ」スローガンが流行っているという。

危機高まる2009年

「蒼天はすでに死に 黄天は立つべき 時間は甲子で 天下は大吉」。中国の干支の中、六十年は一回りの「甲子」となり、新たな時代が始める原点に戻る象徴。「銃と筆で政権を固める」中国共産党は、60年前、梁山泊の「山寨英雄」のように井岡山から降りて、国民党から政権を奪った。一甲子後の新年の冒頭、政権統治で主役の宣伝機構の権威に挑戦する「山寨英雄」らの出現に、危機感を感じたのだろう。

今年に入ってから、北京では国務院前の民衆抗議活動が発生し、各地群集の大規模抗議事件も2008年よりも高い頻度で発生しそうな様相を呈している。

国際金融危機の中、中国経済は悪化し、失業率が上昇し、当局に対する民衆の反感が高まりつつ、共産党高層幹部も資金を海外に移動するなどパニック行動を見せている。今月14日の英紙「タイムズ」が発表した海外民主運動リーダーの魏京生の評論によると、「経済危機が中国大陸の高まる不満をさらに助長させた。 一日の生活費が1ドルにも満たない3億人の貧困者であろうが、億万長者の富豪であろうが、中国社会全体が共産党政権に不満を感じている」という。

魏京生によると、都市の失業率は当局が発表した4%をはるかに超え、20%以上になる可能性が高い。賃金の滞納はさらに労働者の富裕層に対する憎みを強める。「多くの証拠からみると、全国各地で普遍的に不満が暴力に転換されている」。

南部の都市で出稼ぎしている農村部からの大量の労働者が、昨年末から職を失い、例年より早く田舎に帰り、家族と新年を迎える。中国歴史上、王朝の末に農民の反乱はしばしばあった。新年を送った後、仕事がなくなった農民数億人が、当局に対する怒りを露わにする危機が目に見えている。

管制を強化する対応

中共が政権獲得した60周年記念日のほか、今年は多くの記念日が目白押しだ。3月10日、チベット抗議事件50周年;4月25日、法輪功中南海陳情事件10周年;5月4日、五四運動90周年;5月12日、四川大地震一周年;6月4日、天安門虐殺事件20周年。

国家宣伝機関新華社は元旦後の1月5日、「09年は集団事件発生高頻度の年、慎重な対応が求められる」と題する異例な報道を掲載、「09年において、中国社会はさらなる多くの対立・衝突に直面する…その対立はすでに一定の社会・民衆規模までに拡大し た。一旦、導火線があると、往々にして即座に爆発する。極めて激しく、社会には強い破壊力をもたらし、対応が非常に難しいなどの特徴がある」と危機感に満ち警鐘を鳴らした。

1月4日、胡錦濤主席が武装警察の責任者らを面会する際、「責任と使命は重大」と話した。情報によると、政権設立日の10月1日、治安維持の武装警察が始めて天安門のパレード儀式に参加する可能性が高いという。

香港政情誌「開放」雑誌の最新号によると、昨年末、中共党内に、輿論と宣伝管理を強化する「24号」文書を通達したという。胡錦濤国家主席が党内に、「反西洋化」「反分裂」を強く要求、「欧米の政治制度を絶対真似しない」と表明した。昨年末以来、多くの知識人と反体制者が逮捕された。

国内の厳しい管制に対して、中国当局は国際社会向けのイメージ宣伝を狙い、「中央テレビ局」「新華社」「人民日報」などの国家宣伝機関に合計450億人民元(6000億円相当)の資金を投入し、海外でのメディア組織を拡大する計画を出した。この計画により、新華社は海外支社を現在の100から186支社に増やし、アジアを基地にする24時間のニュース報道テレビ局を設立する予定。

(報道・肖 シンリ)
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