中国ネットサービス大手「楽視」資金不足で株急落、張芸謀氏らに影響か

2016/12/09
更新: 2016/12/09

中国でインターネット動画配信からスマートフォンや電動自動車製造、電子商取引などまで幅広く事業を展開する楽視グループ(LeEco)創業者の賈躍亭会長が11月6日従業員宛てに、急激な事業拡大が原因で同社が資金不足危機に陥ったと認める書簡を公開した。中国国内株式市場では同グループ傘下企業の株価が、今月6日までの1カ月間で19.24%急落した。この経営悪化で同グループの1400人の従業員が解雇を余儀なくされた。

中国メディアによると、賈会長が書簡を公開してから、同グループ主要事業のネット動画配信サービスを展開する傘下企業、「楽視網信息技術(北京)股份有限公司」(以下、楽視網)の株価が急落し、6日だけで約8%の下げ幅を記録した。楽視網が上場する深セン証券取引所は7日、同社が「重大事項を発表する予定がある」として、上場規定に基づき楽視網の株式売買を一時停止した。

市場関係者は中国国内メディアに対して、深セン証券取引所の措置は、今後楽視網株価の一段の下落で、投資家心理の急激な悪化で、主要株価指数を始め市場全銘柄の急落を防ぐためだとの認識を示した。楽視網株価の6日の急落がきっかけで、上海市場では投資家が嫌気がさし、売り注文が優勢して、主要株価指数の上海総合は、一時心理的節目である3200ポイントを下回った。

また、7日ネットユーザーが交流サイト(SNS)で同社人事部門で辞職手続きを行うために長い列に並ぶ従業員の姿を映す写真を掲載した。これについて、楽視グループ関係者は中国国内メディア「網易財経」に対して、従業員の最適化調整で今後グループ全体の1割の従業員、約1400人がリストラされるだろうと示した。

賈会長は2004年11月に楽視網を創立し、10年8月に深セン証券取引所で株式上場を果たした。現在グループには、楽視網以外に、楽視映画(楽視影業)、楽視スポーツ(楽視体育)、楽視モバイル(楽視移動)などの事業子会社を傘下に持っている。また14年には電動自動車製造事業に乗り出した。そして今年7月に楽視網は米国テレビ大手のビジオを20億ドル(約2260億円)で買収し、国内では業界の「風雲児」と見なされてきた。

賈会長が従業員宛ての書簡において、「事業拡大のペースが速すぎた。規模拡大を追求すると同時に、資金・資源(の調達)が追いつけなかった」「このほど楽視汽車(電動自動車)への投資が莫大で約100億元以上の資金を費やしたため、グループ全体への資金供給に影響を与えた」と反省の言葉を述べた。

国内メディアは、国際的に知られている映画監督の張芸謀氏を含む国内有名芸能人10数人が楽視映画に出資しているため、同グループの資金不足危機より、投資収益の激減で彼らは巨額な損失を被ると報じた。張監督は15年に、楽視映画に1200万元(約1億8000万円)を出資し、同社の1.4%の株式を取得した。

また楽視網株式の6.06%を保有し、3番目の大株主である投資会社の匯金立方の実質的経営者は、14年12月失脚した中国共産党江沢民派閥の令計画氏の弟で、令完成氏だとみられている。令完成氏は、兄の失脚後米国に逃亡している。

 

(翻訳編集・張哲)

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