ねずみ講が横行する中国、就職難の若者がターゲット

中国国内では現在、「傳銷」(無限連鎖講、ねずみ講)犯罪が蔓延している。ターゲットにされているのは、若者たちだ。この犯罪一つで、大学生の就職難、地方政府とねずみ講の癒着、騙すことに悪びれなくなるといった犯罪性を呼ぶ拝金主義など、さまざまな今の中国の社会問題が露呈する。
犯罪グループであるねずみ講組織は、ターゲットが組織の管理下から逃げ出さないよう、身分証明や銀行のキャッシュカード、携帯電話を没収する。実体のない商品を買わせ、新規会員の勧誘をさせて、詐欺を強要する。抵抗すれば、監禁や暴行などの虐待行為を繰り返すという。

担保の代わりにヌード写真
大学生などの若者がターゲットに狙われている。背景には、就職難や激しい貧富の格差などが挙げられる。また、犯罪グループと地方政府との癒着もあると考えれている。
国内メディアによると、7月~8月で4人の大学生がねずみ講犯罪関連で死亡。当局は、4人の大学生の死因について「溺死」「熱中症」などと、不適当な理由で事件を終わらせようとしている。親族らは警察らに対して、ねずみ講組織の関与を捜査するよう求めている。
監禁されて自力で脱出した青年
湖北省地元紙・楚天都市報29日付は、ねずみ講組織に騙された後、監禁された青年が自力で脱出した事件を報じた。
同紙によれば、安徽省出身の李君は今年7月、大学を卒業した後、運よく上海に近い江蘇省蘇州で月給3000元(約4万9200円、同地の私営で平均的な給与)の職に就いた。
しかし、李君は大学時代の友人に「より高い給料の仕事がある」と勧誘され、8月2日に蘇州での仕事を辞めて、1000キロも離れた湖北省荊州市に移った。
同地に到着し、李君はマンションの一室に住むことになるが、携帯電話は没収され、外出には関係者が必ず付き添った。不審に思った李君は、犯罪組織に騙されたのではと気づき、逃走を図った。
「助けて」と記した紙幣と学生証をイヤホンでくくったものを、マンションの窓から道路へ投げ込んだ。運よく、通行人の通報で、14日に李君は警察に保護された。