THE EPOCH TIMES

アングル:デノミ強行ベネズエラ、超インフレ国の買い物事情

2018年08月28日 20時06分

Shaylim Castro and Isaac Urrutia

[カラカス/マラカイボ 17日 ロイター] - ハイパーインフレに対応するため通貨単位を5桁切り下げるデノミネーション(デノミ)を3日後に控えたベネズエラでは、デノミが大混乱を引き起こし、生活必需品が入手不可能になることを恐れた人々が、商店やガソリンスタンドに長い行列を作っていた。

20日実施のデノミ前に、食品や乾物などの必需品を自宅に十分確保し、自家用車のガソリンを満タンにしたかったのだ。

社会主義的な経済モデルが崩壊したベネズエラでは、野党主導の議会発表によれば、インフレ率が7月には8万2700%に達した。これは、石鹸1個やトマト1キロなどの必需品を買うにも、現金を山ほど用意しなければならないことを意味する。

そして、その現金入手自体も困難なことが多かった。

「野菜を買いに来たけれど、この行列には並んでいられないから、引き返す」。西部マラカイボのスーパーで、事務職員のアリシア・ラミレスさん(38)はそう語る。「皆必死になっている」

今回は、2016年12月にマドゥロ大統領が、最高額紙幣を代替なしに廃止したときのような混乱はなさそうだ。この時は抗議デモが多発。略奪行為や多数の逮捕者が出て、国は実質的に法定通貨なき状態に陥った。

車のドライバーたちは、給油を急いでいた。ベネズエラでは、多額の政府補助金でガソリン価格が世界最安値となっており、1米セント(約1・1円)で2896ガロン(約1万リットル)購入できる。デノミ実施後は、ガソリン代に釣り合う小額紙幣が新たに発行されないため、購入できなくなるのではないかと心配するドライバーもいた。

マドゥロ大統領は今月、ガソリン価格の引き上げに言及したが、その日程は明らかにしていない。ガソリンスタンド関係者数人は、価格変更について何も説明を受けておらず、近い将来に価格が引き上げられることはないだろうと話した。

「週末に営業しているガソリンスタンドをみつけられないと困るので、今入れにきた。人々は怒るというより、悲しんでいる」と、かつて工業が盛んだったバレンシアの町でガソリンスタンドに並んでいた教師のアナ・ペレスさん(50)は話した。

ベネズエラは政敵が仕掛けた「経済戦争」の犠牲になっていると主張するマドゥロ大統領は、デノミ実施により、経済が安定すると主張している。同国は石油輸出国機構(OPEC)の加盟国でもある。

一方で、反大統領派からは、デノミが会計上の操作に過ぎず、物価上昇を抑制する効果はまったくないと批判する。また、インフレは、社会主義政策の失敗や野放図な紙幣増刷に原因があるとの批判も根強い。

実際には、多くの商取引が、販売端末を使ったデビットカードで行われているため、銀行幹部が急すぎると訴えていた今回のデノミ強行によって金融ネットワークが崩壊するのではないかとの懸念も出ていた。

マドゥロ大統領は、デノミ実施日を祝日に指定。単位を引き下げられた新しい紙幣が同日に導入され、銀行のインターネット取引は、その前夜から数時間停止することになった。

2016年の通貨改革との最大の違いは、今回の場合、新紙幣が導入される間、新旧の紙幣が混在する期間があるということだ。その期間がいつまで続くかは決まっていない。

そのため、新通貨で10ボリバルの物を購入するため、額面100万ボリバル分の旧紙幣で支払うという、紛らわしい状況も出てくる。

銀行口座を持たない低所得層の人々は、これまで日用品の買い物に大量の紙幣を持ち歩いていた。

チーズ1キロ、米ドルにして1ドル14セント相当を買うために、1000ボリバル紙幣7500枚を用意しなければならなかった。1000ボリバル紙幣は、2017年に完全導入されたばかりだ。

53セント相当の石鹸1つを買うには、同紙幣が3500枚必要だ。

「大惨事になるだろう。まだ何の情報もきていない」と、カラカスの日用品販売店マネージャーのヨレイマ・マンリケさん(42)はかたった。「客にも店にも、クレイジーな状況になる」

(翻訳:山口香子、編集:下郡美紀)

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