米大統領、サウジ記者死亡は「最悪の隠ぺい」 容疑者のビザ無効に

2018/10/24
更新: 2018/10/24

[ワシントン/アンカラ 23日 ロイター] – トランプ米大統領は23日、サウジアラビアの著名記者ジャマル・カショギ氏の殺害でサウジは「史上最悪の隠ぺい」を行ったとの見解を示した。

大統領はホワイトハウスで、カショギ氏の殺害がいかに起きたかとの記者の質問に対し「サウジの当初の考えは非常に悪かった。下手に実行され、隠ぺいは歴史上最悪の部類のものだった」と述べた。

また、サウジ当局者はカショギ氏の問題に上手く対処しなかったとし、「悪い対応だ。誰かが実に大きな間違いをした。サウジは最悪の隠ぺいをした」と述べた。

米国務省は、今回の件に関連して21人のサウジ人を対象に、ビザの取り消しや将来取得できなくなる処分を行うと発表した。

ポンペオ国務長官は、事件の関与者への制裁が適切かどうかを検討していると明らかにした。「こうした処罰は今回の件に関する米国から最後の発言ではない」と述べた上で、他の高官同様、米国とサウジの関係の重要性を強調し、「大統領も私もこの状況を好ましいとは思っていない」とコメントした。

トランプ氏は今回の事件で最終的に誰に責任があるかについては見解は示さなかった。一方、ポンペオ国務長官は、カショギ氏の殺害関与が疑われるサウジ高官と治安当局者を特定したとし、ビザ(査証)の取り消しなど適切な処罰を行う考えを示した。

サウジはここ3週間、カショギ氏の失跡に関して説明を二転三転させてきた。当初、同氏の行方に関して何も知らないとしていたが、20日には総領事館でのもめごとの結果死亡したと説明。こうした説明に対して欧米諸国から疑問が持ち上がった。

トルコの高官は、カショギ氏はサウジの工作員により総領事館内で殺害され、遺体が分断されたとの見方を示している。

エルドアン大統領は23日、議会で与党・公正発展党(AKP)議員らに対し演説し、カショギ氏の殺害は計画的なもので、カショギ氏が残忍な手法で殺害されたことを示す確固たる証拠があると述べた。一方、焦点である最高実力者ムハンマド皇太子の関与には言及しなかった。

エルドアン氏は、サウジ指導部が今回の事件で責任を負うべき人を全てを見つけ出し、必要な処罰を与えるべきだと主張。指示を出した人から実行した人など、全ての人の責任が問われるべきだと説明した。

関係筋によると、当局は殺害時の様子を録音したとされる音声記録を入手したが、エルドアン氏は、この音声記録についても触れなかった。

エルドアン氏は、結婚に必要な書類を取得するためにカショギ氏が9月28日に、最初にイスタンブールのサウジ総領事館を訪問した時から殺害が計画されていたと説明した。その時カショギ氏は必要書類を後日取りに来るよう伝えられたという。

また、カショギ氏殺害の前日に海外から工作員が入国し、イスタンブール近郊のベオグラードの森や、南部のヤロヴァ市などを偵察したという。ロイターは、警察がカショギ氏の遺体をみつけるため、この2つの地域を捜査したと報じている。

エルドアン氏によると、カショギ氏が殺害された当日、総領事館の監視カメラのハードディスクが抜き取られていた。

「このような残酷な殺害をもみ消そうとすることは、人の良心を傷つけるだけだ」と述べ、計画的に行われた殺害で、突発的に起きたことではないとの見方を示した。

さらに、カショギ氏殺害の当日、治安・情報要員や法医学専門家など15人が総領事館に終結。その日、総領事館のスタッフは休暇を言い渡されていたという。

エルドアン氏は「なぜこの15人は殺害の日にイスタンブールで会ったのか。われわれはその答えを探している。この15人は誰から命令を受けたのか」と述べた上で、容疑者はトルコで裁かれるべきだとし、引き渡しを要求した。

*内容を追加します。

Reuters
関連特集: 国際