米下院民主党、対中通商政策で共和と協力 新NAFTAでは対立も

2018/11/09
更新: 2018/11/09

[ワシントン 8日 ロイター] – 先の米中間選挙で過半数を奪還した下院民主党は、対中貿易戦争でトランプ米大統領に協力すると専門家は指摘する。一方、来春の採決が見込まれる北米自由貿易協定(NAFTA)に代わる貿易協定(USMCA)では、超党派の結束はさほど期待できない。下院民主党は、新協定の内容を厳しく精査するとみられる。

労働組合を支持基盤とする民主党は、トランプ政権による中国製品への高関税を強く反対はしていない。

ピーターソン研究所のシニアフェロー、ゲーリー・ハフバウアー氏は「トランプ氏は、好戦的なアプローチを自由に進めることができる。(民主党の)ブルーウェーブも好戦的になり、対中政策でトランプ氏よりも好戦的になるかもしれない」と指摘した。

アメリカン・エンタープライズ公共政策研究所の中国専門家であるレック・シザーズ氏は「下院民主党は議会の中でも最も保護主義的な色が強いグループだ」と指摘。トランプ氏が中国との協議で同国の通商慣行を大きく改めることができないような条件で合意したら、下院民主党は厳しく非難するだろうとの見方を示した。

一方、カナダとメキシコとの通商協議に関しては、下院民主党は、9月末に合意した新協定「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」の議会通過を困難にする可能性がある。

新協定は2019年春に議会に提出される見通しだが、下院民主党のリチャード・ニール議員は、新協定での労働・環境基準の厳格化を主張するという。労働者や環境を保護する各団体は、現行協定の基準は緩すぎると批判してきた。

ニール議員は、税金や貿易問題を多く扱う下院歳入委員会の次期委員長になると予想されている。

民主党が変更を求めて新協定が保留になれば、再交渉の可能性も浮上するとアナリストやロビイストは指摘する。

Reuters
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