壊滅的食害もたらす害虫ツマジロクサヨトウ、中国18の省で発見

2019/06/07
更新: 2019/06/07

家畜伝染病のアフリカ豚コレラが猛威を振るっている中国の農業は、新たな脅威にさらされている。今年1月、中国南部の雲南省で外来種のガ、ツマジロクサヨトウが見つかってから、現在までに、中国国内18の省で害虫被害が確認された。

ツマジロクサヨトウは南米の熱帯地域などを原産とする害虫。幼虫がトウモロコシ、小麦、稲、サトウキビ、モロコシなどの作物を餌として食い荒らすため、中国では「食糧の殺し屋」と呼ばれている。

昨年、アフリカの十数カ国の農業に壊滅的な打撃を与えた。海外メディアによると、アフリカ諸国ではこの害虫による被害額が30億ドルに達した。同年7月、ツマジロクサヨトウが初めてアジアで確認された。8月、国連食糧農業機関(FAO)は世界各国の政府に対して、ツマジロクサヨトウのまん延で農業生産が深刻な打撃を受けると警告した。

中国農業農村部(省)が4日に発表した通達によれば、1月以降中国の18の省でツマジロクサヨトウを発見した。当局は、ツマジロクサヨトウが6月に黄河の南部地域と淮河(わいが)の北部地域、7月に東北部の各トウモロコシの主要生産地に拡大し、2億ムー(約13万3000平方キロ)の畑が食害に遭う可能性が高いと推測した。

ツマジロクサヨトウは繁殖力が強く、また1晩で100キロを移動できるため、駆除が最大の課題だ。さらに、天敵がいないため、農薬で駆除するしかない。過去数十年間、南米やアフリカでの殺虫剤散布によって、現在すでに農薬への耐性を得ており、完全な駆除がほぼ不可能だとされている。

中国当局は2月に公布した中央一号文件(当該年の最も重要な政策課題)で、食糧の生産量を安定化し確保する必要があると強調した。香港メディアは、同文件は中国国内の深刻な食糧不足を反映したとの見解を示した。

(翻訳編集・張哲)

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