大紀元時報

米中貿易交渉が再開も「党を守るか放棄か」迫られる中国指導部

2019年07月03日 20時00分
6月28日、G20大阪サミットで握手するトランプ米大統領と中国の習近平国家主席(BRENDAN SMIALOWSKI/AFP/Getty Images)
6月28日、G20大阪サミットで握手するトランプ米大統領と中国の習近平国家主席(BRENDAN SMIALOWSKI/AFP/Getty Images)

中国当局と米国は6月29日に行われた首脳会談で、5月以降中断していた米中通商協議の再開で合意した。米メディアはこのほど、中国指導部内部では、構造改革の推進という米の要求に対して、強硬派と容認派に分かれたと報道した。専門家は、中国指導部は「党をこのまま維持するのか、それとも放棄するのか」という難しい選択を迫られていると指摘した。

米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は1日、情報筋の話として、5月13日、中国指導部メンバー20人が参加した重要会議で、香港・マカオ政策を担当する韓正・中央政治局常務委員兼副首相が、米中貿易交渉を批判したと報じた。

これによると、韓氏は、中国側が合意に至っても米国が直ちに制裁関税を撤廃しないという米の主張に強く反発した。5月初め、米中貿易交渉が決裂した後、米側が対中制裁を強化し、中国当局は米への歩み寄りに慎重な姿勢を見せているという。「習主席が権力を握っていても党内でのコンセンスを得なければならない。米に投降したという対応をも避けなければならない」

中国最高指導部が5月に中央政治局会議を開いた後、政府系メディアは、通商協議が決裂した原因は米側にあると批判し、米との合意を主張する派閥を「降伏派」と批判した。

これまで、一部の高官は、国有企業への優遇措置による市場競争の歪みを是正する、いわゆる「競争の中立性」を提言し、中国国内の国有企業、民営企業、外資企業により公平な競争環境を提供するとの認識を示した。

WSJの報道によると、中国当局内部ではこのほど、国有通信企業や国内主要産業を管轄する高官は、「競争の中立性」について、「西側の考え方では中国に合わない」として反対し始めた。現在、「競争の中立性」に唯一賛成しているのは、金融監督当局だという。

中国人民銀行の易綱・総裁は昨年10月、インドネシアで開催された国際銀行業シンポジウムで、国有企業の「競争の中立性」について言及し、国内の改革と対外開放を加速するなどと発言した。

米シンクタンク、ハドソン研究所の中国問題専門家、マイケル・ピルズベリー氏は、「中国当局の強硬派は、自由市場を手に入れたいと思っていない。彼らは、『より強腰の中国』こそ必要不可欠であると考えている」との見解を示した。

究極の選択

米社会学者のスティーブン・W・モッシャー(Steven W. Mosher)氏はこのほど、大紀元時報英語版に寄稿し、「習近平国家主席がトランプ大統領との交渉で、いかなる決断をしても、党内で反発を食らう」と指摘した。

「習主席が米側の要求に応えた場合、中国当局が今後知的財産権を尊重し、公正な司法制度を構築することを意味する。これによって、共産党の支配が弱まる」

「一方で、習近平氏が構造改革を拒否した場合、米国の一段と厳しい制裁関税に直面する。これによって、中国経済のけん引力である輸出は、企業の海外撤退で崩壊する」

モッシャー氏は、習近平国家主席は今、難しい選択を迫られているとした。「反対勢力はこれを機に習氏の影響力を低下させるために混乱を引き起こす可能性さえある」

しかし、在米中国人時事評論家の横河氏は、この選択に直面しているのは習国家主席1人だけではなく、各派閥と高官全員だとの見方を示した。

「欧米社会の考え方で見れば、今の局面を中国共産党内の強硬派と反対派による権力闘争として捉えているが、実際は違う」

横河氏は、いわゆる中国共産党内の強硬派は、中国の経済政策から恩恵を受けた既得権益集団だとした。「しかし、反対派も中国経済の開放によって利益を獲得した。これが保守派が抱えるジレンマである」

「強硬派が求めている『強腰の中国』はスーパー権力集団が全面的に中国社会を牛耳ることだ。米国に『強腰』の姿勢を示せば、中国の経済が悪化し、彼らの経済基盤を弱体化させてしまう。同時に社会の両極化が激化し、社会不安が広まる。結果的に、権力集団の利益に損失をもたらすのだ」

横河氏は、中国当局がこれまで行ってきた改革はすでに行き詰っていると指摘した。改革を深化することは、中国共産党の統治基礎を揺るがすことを意味する。

「G20大阪サミット後の中国指導部内部には、強硬派と反対派による権力闘争は存在しない。習近平氏が各派を説得するという問題でもない。中国の全ての国民、あるいは党内各派が実際に直面しているのは、共産党政権を維持するのか、それとも共産党政権を放棄するかという問題だ」

(翻訳編集・張哲)

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