トランプ氏、人種差別や白人至上主義を非難 銃乱射の死者31人に

2019/08/06
更新: 2019/08/06

[ワシントン 5日 ロイター] – トランプ米大統領は5日、31人が死亡した2件の銃乱射事件を受け、「人種差別や偏見、白人至上主義は非難されなければならない」と言明した。さらに、インターネットの監視強化やメンタルヘルス問題への取り組みの見直し、重罪に対する死刑求刑などを提案した。

米国では週末、テキサス州エルパソとオハイオ州デイトンで2件の銃乱射事件が発生。この日、エルパソの事件の負傷者2人が死亡したことを受け、両事件を合わせた犠牲者は当初の29人から31人に増加した。エルパソの事件は人種差別に絡むヘイトクライム(憎悪犯罪)とみられているほか、一部の民主党大統領選候補者はトランプ大統領が人種間の分断を招いているとして非難している。

トランプ大統領は、自身への非難には直接言及しなかったものの、人種差別などの「悪意ある思想は排除されなければならない」とし、「米国に憎しみの居場所はない。憎悪は精神を歪め、心を荒廃させ、魂をむしばむ」と述べた。

トランプ大統領は、国内テロの捜査に着手するよう司法省に命じたことを明らかにしたほか、ヘイトクライムや大量殺人を犯したものに死刑を求刑する法案を提案すると述べた。

さらに、メンタルヘルスに関連する法律の改正が必要としたほか、司法省が地方政府やソーシャルメディア企業と連携し、事件発生前に銃撃犯を突き止める取り組みを行うよう指示したことも明らかにした。

大統領は「公共の安全に重大なリスクを及ぼすリスクがあると判定された人物が銃器にアクセスできないよう確実にする必要がある」と述べた。

これに先立ち、トランプ大統領は銃購入者の「バックグラウンドチェック厳格化」を要求していたものの、実際の発言では詳細には触れず、大きく取り上げることはしなかった。

その上で「引き金を引くのは銃ではなく、精神疾患や憎悪だ」と述べた。また、「残酷な」ビデオゲームを非難し、社会に存在する暴力を賛美することを止める時とも主張した。

来年の米大統領選への出馬を表明している民主党のエイミー・クロブチャー上院議員は、トランプ大統領が銃規制の問題から身をかわそうとしていると批判。ツイッターへの投稿で「精神疾患や憎悪を巡る問題は世界中に存在する。しかし、米国は銃による暴力の比率で類を見ない」と述べた。

テキサス州エルパソの事件では、同州のメキシコとの国境に近くヒスパニック系住民が多いエルパソにあるウォルマートで発生。

同州のアボット知事は事件について、ヘイトクライムのようだとの見方を示し、警察はパトリック・クルシウス容疑者(21)がインターネットに投稿したとみられる文書から人種差別が動機とみられるとしている。連邦検事は国内テロとして、捜査を行っていることを明らかにしている。

オハイオ州デイトンの事件の同機は明確になっていないものの、当局によると、現場で警察に射殺されたコナー・ベッツ容疑者(24)は高校時代に同級生の「殺害予定者リスト」を作成するなど、問題のある過去があったという。

*情報を追加します

Reuters
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