香港当局、林地に「反テロ訓練施設」建設予定 新疆を参考に視察も

2019/10/10
更新: 2019/10/10

香港政府は、大規模な警察の反テロ訓練施設の建設を計画している。計画にあたって、香港保安局長は昨年末、新疆ウイグル自治区の再教育キャンプを視察していた。

香港の民間人権団体・本土研究社(Liber Research Community)は10月8日、香港政府の公式資料のなかに、訓練施設の建設費として19億香港ドル(約260億円)の予算を計上していると指摘した。

この反テロ訓練施設の建設予定地は、半世紀前から存在する林野のなかの拘留所「新屋嶺拘留センター」に隣接する。深センと香港の境界近くに建ち、1989年の六四天安門事件では民主活動家も一時拘留したというこの施設には今年、香港デモに参加した市民が送致されている。

香港メディアによると、施設内ではデモ参加者が警官からの暴行、性的嫌がせを受けており、9月27日には5万人規模の拘留所の対応に抗議する集会が開かれた。このため香港政府は、同拘留所への送致を一時的に中止している。

この騒動を受けて、拘留施設周辺を調べた本土研究社は、新たな警察の訓練施設を新屋嶺拘留センターのすぐ隣に建設する計画があることを発見した。

香港政府の公式資料によると、「総合テロ対策警察訓練施設集中地域」とする、19ヘクタールもの林地の一帯が、事業予定地となっている。本土研究社によると、施設規模から事業の総費用は100億香港ドルを超えると予想され、11月には工事が始まる見込みという。

警察特別訓練場の案は2016年7月に初めて下請け業者により報告されている。資料には、多数のパトカー運転訓練場、試乗車場、大規模な射撃場、ヘリポート、火器訓練施設がある。この林野に建てられる施設では、拳銃、ライフル、散弾銃、ソニック・ガン(電波を使った銃器)などさまざまな射撃訓練を実施する場所がある。

香港アップル・デイリーによると、2018年12月、香港保安局局長・李家超氏は新疆ウイグル自治区の「テロ対策施設」を視察し、「大変参考になる」と明言していた。李氏は2019年1月、立法府委員会に今回の特別訓練施設を盛り込んだ「対テロ対策施設事業案」を提出し、議会財務委員会では予算が計上されたという。

香港の立法会議員2人が、この警察による特別な訓練施設について説明を求めたところ、香港政府は「テロ対策やその他の専門行動のための高度戦術訓練施設」と答えたという。

本土研究社は、「香港には実際、ビン・ラディン(テロリスト)はいない。『対テロ』訓練が一般市民のデモ鎮圧のためであることは明らかである」と書いた。

香港デモについて、中国政府は複数回にわたり「テロに近い行為」だと批判を強めている。こうした当局の表現から、本土研究社は、新疆対テロ施設を参考にしたという香港政府および警察は「対テロ」を名目にした、非人道的な取り締まりを強めると推測している。

(翻訳編集・佐渡道世)