米、シリア北東部の一部米軍残留を検討=国防総省

2019/10/22
更新: 2019/10/22

[ドホーク(イラク)/カブール/ワシントン 21日 ロイター] – エスパー米国防長官は21日、米軍の一部をシリア北東部の油田近くにクルド人主体の武装勢力「シリア民主軍(SDF)」とともに残留させ、原油が過激派組織「イスラム国」(IS)の手に渡らないようにすることを検討していると明らかにした。

トランプ米大統領が表明した米軍によるシリア撤退の一環として、21日には100台以上の車両がシリア北部から国境を越えイラクに移動した。

アフガニスタンを訪問中のエスパー長官は記者団に対し、シリア北東部からの撤収が進められているが、一部部隊はまだ、SDFとともに油田付近にとどまっており、その一部を残留させることについて協議が行われていると指摘。選択肢の一つであり、決定は下されていないものの、異なる選択肢を検討することが国防総省の任務だと語った。

長官は「現在、その(油田)地域近くの複数の街に軍を配置している。目的は、その収入を邪悪な活動の資金にしようとするISなどの勢力を寄せ付けないことだ」と述べた。

米紙ニューヨーク・タイムズは20日遅く、トランプ大統領がイラク国境近くのシリア東部に約200人の米軍を残留させる新たな軍事計画を支持しつつあると報じた。ホワイトハウスは現時点でコメント要請に応じていない。

 

トルコはシリア北部で展開する軍事作戦を5日間停止することで米国と合意。停止期限は22日までだが、エルドアン大統領は21日、テレビ局主催のイスタンブールでの討論会で、期限前にプーチン大統領と会談し、シリア北東部に「必要な措置を取る」と述べた。ただ、詳細は明らかにしなかった。

エルドアン大統領はまた、「安全地帯」に複数の監視所を設置する方針も明らかにした。

これに対し、イラン外務省の報道官は21日、国営テレビで生中継された定例の記者会見で「トルコ政府によるシリアでの駐屯地設置に反対する」とし、「この問題は外交的手段によって解決されるべき」と主張した。

エルドアン大統領はSDFが撤退しない場合、停止期限後に軍事作戦を再開するとしているが、トルコ関係筋によると、国境地域全体ではなく、攻撃集中地域一帯からの撤退を確認することがトルコ政府の優先事項としている。

 

トランプ大統領はこの日、シリアに米軍が残留することは望まないとしながらも、シリアから撤収する軍の一部は米国に戻る前に別の場所に派遣されるとことを明らかにした。

トランプ氏はホワイトハウスで、小規模な米軍の一部が「原油の確保に向け少々異なる所」に残留するほか、「ヨルダンとイスラエルに近い、シリアのまったく異なる地域」にも残留すると述べた。

ただこれ以外に米軍が「とどまる理由はない」とし、 最終的に米軍は米国に帰還すると語った。

*内容を追加しました。

Reuters
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