フェイスブック、ロシアから情報操作検知 来年の米大統領選控え

2019/10/22
更新: 2019/10/22

[ロンドン/ワシントン 21日 ロイター] – 米フェイスブック<FB.O>は、米大統領選を来年に控え、ロシアから操作されていたインスタグラムなどの複数のアカウントが米国のユーザーに対立をあおる政治的なメッセージが送っていたことが判明したと明らかにした。こうしたメッセージは米国内のユーザーから送られたように見せかけられていた。

フェイスブックは21日にこうしたアカウントを一時的に停止した。このほか、イランから操作されていた3つのネットワークも一時停止した。

フェイスブックは同時に、来年の米大統領選に向け外国からの介入や情報操作に対抗する措置を発表。政府が背後にいるメディアであることが分かるようにするほか、選挙の候補者など、ハッキング行為の標的となる可能性があるユーザーの保護を強化する。

このほか、投票しないよう呼び掛ける有料広告について、これまでに示した計画通りに禁止することも明らかにした。ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)によると、有権者に対する誤情報の禁止は政治家による広告にも適用される。

フェイスブックによると、ロシア側のネットワークはインターネット・リサーチ・エージェンシー(IRA)と「何らかの関係」が認められた。米政府はロシア政府はIRAを通して2016年の米大統領選に介入したとの見方を示している。

フェイスブックのサイバーセキュリティー対策責任者ナサニエル・グレイチャー氏は、「こうした工作は概して米国内で見られる議論を標的としており、見解の対立がある困難な政治問題に関係するものだった」と述べた。ただ「何が目的だったのかは正確には分からない」とした。

グレイチャー氏によると、IRAとの関連が認められたネットワークは50のインスタグラムのアカウントとフェイスブックのアカウント1つを通して24万6000人のフォロワーを獲得。このうち約60%が米国内のユーザーだった。

こうしたアカウントは最も早い時点で今年1月に確認されたとし、フォロワー獲得に注力していた可能性があると指摘。「工作を開始する際はまずこうしたことが実施される」と述べた。

グレイチャー氏はこのほか、イランのネットワークが100件を超えるフェイスブックとインスタグラムのアカウントを利用し、米国のユーザーのほか、北アフリカのフランス語系住民や、ベネズエラ、ブラジル、アルゼンチン、ボリビア、ペルー、エクアドル、メキシコなどの中南米諸国のユーザーを標的としていたことも明らかにした。こうしたアカウントは偽アカウントもしくは、ハッキングされたアカウントだった。

フェイスブックが契約したソーシャルメディア分析会社グラフィカの研究員、ベン・ニモ氏は、フェイスブックが検知したアカウントでは共和党と民主党の支持者の双方に訴えかけるメッセージがシェアされていたと指摘。メッセージには、民主党のオカシオコルテス下院議員、民主党の大統領候補に名乗りを挙げているバイデン前副大統領のほか、共和党のトランプ現大統領ら対する批判などが含まれていた。

ニモ氏は、実在する米国人の過去のメッセージがコピーされシェアされていたことは興味深いとし、英語力不足を隠そうとした可能性があるとの見方を示した。

*内容を追加しました。

Reuters
関連特集: 国際