大紀元時報

香港、北京語話す男が複数人を切りつける 6人負傷 議員の耳を噛みちぎる

2019年11月04日 18時14分
香港太古市で11月3日、北京語を話す男が人々を切りつけ、6人が負傷した。近くにいた立候補者は耳を噛みちぎられた(大紀元)
香港太古市で11月3日、北京語を話す男が人々を切りつけ、6人が負傷した。近くにいた立候補者は耳を噛みちぎられた(大紀元)

11月3日午後、香港の民主主義を支持する市民たちは、8つの地域でデモ行進や集会を行った。集会の行われた太古市で午後7時半頃、突然、北京語を話す男がナイフで周辺にいた人々を切りつけた。少なくとも6人が負傷した。負傷者の1人は、24日に投票日を迎える区議会選挙に立候補している趙家賢氏で、男に片耳を噛みちぎられた。

この事件は、民主派集会の参加者を取り押さえるために出動した機動隊が立ち去った後に発生した。このため、市民はしばらく暴走する男の行動を自主的に抑制しなければならなかった。まもなく到着した救急隊により、負傷者および襲撃犯の男も病院へ搬送された。男は太古市の住民という。

民主派のネットグループによると、検察は、この襲撃事件は刑事事件ではなく「住民の口論によるトラブル」という民事案件だとして、起訴を見送ったという。香港市民は、明白な暴力事件に対応しない警察の態度に、さらに怒りを募らせている。

民主派の太古市議員で、今回の区議会議員にも立候補している趙家賢氏への襲撃について、若い著名な民主活動家・黄之鋒(Joshua Wong)氏はSNSに、血に染まる耳を抑える趙氏の画像を添付して「このような立候補者に対する暴力行為に強く抗議する」と書いた。

拘束される記者たち

香港ではデモ参加者のみならず、報道関係者や救急隊員、ショッピングモールの買い物客まで、警察機動隊の威力に圧迫されている。

この太古市の切りつけ事件を取材していた、香港バプテスト大学の学生記者は、理由は不明だが警察に取り囲まれた。その様子を撮影するメディア関係者たちに、警官は唐辛子スプレーを噴射し、離れるよう指示した。カメラなどの機材を持つ細身の男子学生は、大声で叫んだ。「いま警官から耳元で『お前は(新屋嶺)拘留センターに運ばれて、性暴力されるんだ』と言われた」「(服をたくし上げて)今どんなケガもしていない。自分に何かが起こったら…どういうことか、皆わかるね!」「私は断言する。私は自殺しない!」

香港デモ参加者は、中国本土に近い新屋嶺拘留センターに収容されると、抗議者たちによるオンライングループでは認識している。そこでは、性的暴行や嫌がらせ、殴打があると、出所者たちは書き込んでいる。また、デモ参加者に行方不明者や不審死が相次いでおり、後に警察は「自殺した」と公表することがある。こうした事情を見越して、この学生記者は身体を見せて「傷がない」「自殺しない」と公言した。

香港バプテスト大学報道委員会は、学生の拘束は不当であり、報道の自由の制限であるとする声明を発表。即刻釈放を求めた。

この学生記者のほかに、民主派メディアの立場新聞のカメラマン、香港電台(RTHK)の記者も拘束された。

10月4日、香港警察は記者会見で、一部のメディアを名指しして、「警察を監視する」といったスローガンを掲げるメディアは「報道の活動」とみなさず、今後は警察がその行動を記録するとした。

警察の無差別攻撃

日本人居住者も多く、ハイエンドな店舗も入るショッピングモールを構える太古市の中心部でも、警察による暴力行為に抗議する運動が行われた。

警察の機動隊は、ライフルと唐辛子スプレーを使用して参加者の行動を制御した。抗議者の一部がモール内に駆け込むと、数十人の機動隊が施設内に突入した。買い物客は、警官が若者を乱暴に拘束するのを見かねて、警官に近寄り抗議したが、警官は買い物客を警棒で殴打した。

沙田のショッピングモールでも、多数の機動隊が突入し、騒動が起きた。吹き抜け構造のモールは当時、週末の買い物を楽しむ家族連れや高齢者もいたため、施設支配人が警察に抗議する一場面があった。しかし、警官は、上階からレーザーライトを当てる抗議者に向けて、施設内でゴム弾とビーンバック弾、催涙弾を使用した。

モール内では、ショックを受けて体調を崩した高齢者、泣き崩れる人、泣く子どもと一緒に走り逃げる人々、施設内での警察の強硬行動に怒りをあらわにする人々がみられた。

ほかにも、2階に立ち入った機動隊は、騒動の様子を取材中の1階にいるメディアに向けて、唐辛子スプレーを噴射する姿も、目撃者により記録された映像がSNSに出回っている。

抗議集会が行われた金鐘添馬公園では、警察は、集会に参加した市民のみならず、公園内のすべての市民に出来るだけ早く立ち去るよう警告した。そうでなければ、公務妨害にあたり拘束すると脅したという。一部の市民は、警察と口論した。「公園で休み、新鮮な空気を吸い、海の景色を眺めているだけなのに、警察が公園の景色を楽しむ基本的な権利を奪った」と不満を述べた。

11月2日には、香港島、九龍、銅鑼湾地区で「国際支援を呼び掛ける」キャンペーンが行われ、平和的な抗議集会および選挙候補者による演説が開催された。ここでは、200人以上が警察に逮捕された。理由は違法集会、攻撃兵器の所有、犯罪計画の疑いという。拘束された人のうち3人は立候補者。

また、騒動により54人が負傷し病院に搬送された。負傷者のうち1人は重傷、23人は安定状態、30人は退院した。負傷者の1人は、催涙ガスに背中を直撃された有志の救急隊員で、背中が広範囲にわたり負傷した姿が出回った。

有毒でアスファルト溶かす中国製催涙弾

報道によると、警察が使用する手投げ式の催涙弾は、中国本土で作られたもので、炎を放ちながら催涙ガスを噴出する。放置された催涙弾のかけらは、道路のアスファルトを溶かして地面に埋まり、取り除くことができない。アスファルトの溶解温度は1000度とされる。

また、基準値以上のシアン化水素が含まれていることが、香港の香城教育テレビの記者が計測結果を公表している。シアン化水素は殺虫剤や化学兵器に使用される薬品。同メディアの記者が、香港警察から放たれた催涙弾に専門機器を近づけたところ、シアン化水素が12.1ppm検出された。これは、製品の安全性を図る米国産業衛生専門家会議(ACGIH)や米国国立労働安全衛生研究所(NIOSH)が定める基準の2.5倍に相当する。

香港民主派の市民による、香港警察の暴力および中国共産党政権の圧力への抗議は続く。最近では毎夜10時に、高層マンション群の部屋から、民主主義を支持するスローガンを響かせるという運動が続いている。

(香港大紀元/編集・佐渡道世)

関連キーワード
^