大紀元時報

<新型肺炎>まん延阻止より安定優先か 専門家不在の対策チーム

2020年01月29日 14時33分
2020年1月25日、旧正月を迎える北京市内の様子(Kevin Frayer/Getty Images)
2020年1月25日、旧正月を迎える北京市内の様子(Kevin Frayer/Getty Images)

中国最高指導部は25日、現在感染拡大している新型肺炎のまん延防止対策チームを設置した。チームメンバーに感染学の専門家は一人もいない。専門家は、指導部直轄の同チームは政権安定を目的としていると指摘した。

李首相は26日、国の感染防止対策チームである「武漢肺炎感染領導小組」のトップに就任した。

メンバーには、共産党中央政治局常務委員でプロパガンダ・思想教育担当の王滬寧氏(中央書記処書記)は、チームの副長を務める。また、党中央政治局委員の丁薛祥(中央弁公庁主任)、孫春蘭、黄坤明(中央宣伝部長)、蔡奇(北京市党委員会書記)と、国務委員の王毅(外交部長)、肖捷(国務院秘書長)、趙克志(公安部長)の各氏が名を連ねる。

専門家不在の対策チーム

 

時事評論家の李林一氏は大紀元に対して、対策チームの構成から、「新型肺炎のまん延を抑制しようという最高指導部の意欲が見受けられない」との見方を示した。

「習近平国家主席はチームのトップを担当しておらず、メンバーには、プロパガンダ担当の高官や、社会安定維持を担う警察のトップがいる。これに対して、チームの中に、衛生当局である国家衛生健康委員会や、発生源の湖北省の幹部が1人も入っていない」

李氏は、中国当局は感染拡大に伴い、国民の怒りが爆発し蜂起して、政権崩壊につながるのではないかと神経をとがらせていると指摘した。「その結果、プロパガンダ部門のトップや警察トップをチームのメンバーにしたのでは」と分析。

武漢市長、「感染を発表の権限がない」と異例の言及

日常生活が一変した中国市民は、当局の初動対応の不手際がこの全てを招いたと不満を噴出させた。批判の矢面に立たされた武漢市長は異例にも、「私には情報を公開する権限がない」と示唆した。

1月27日、周先旺・武漢市長は国営中央テレビ(CCTV)のインタビューで、「地方政府は情報を得た後、まずそれを公開する権限を(中央政府から)受けなければならない。これについて、当初から(市民から)理解を得られなかった」と市民の不満があることを念頭に発言した。

1月20日、国務院が常務会議を開き、新型肺炎を「乙類伝染病に指定し、甲類伝染病として予防・感染防止措置を講じる」と決めた後、周市長が「それから対応を始めた」と述べた。

在米中国問題専門家の韓連潮氏は26日、ツイッターで、「国内の友人からの情報によると、国務院(内閣)は1月初めに、党中央政府に2003年のSARS(重症急性呼吸器症候群)発生時の感染防止対策を参考にして、武漢市の警戒態勢を強化するよう提案した。しかし当局に拒否された」と書き込んだ。理由は、「党中央は、旧正月を祝う雰囲気を壊したくないからだ」という。

また、韓氏は同日、別の投稿で、国務院関係者の話では、武漢市で感染が拡大したため、党中央は李克強首相に武漢を視察するよう求めた。李首相は当初、「国務院の責任ではない」として断った。

李克強首相は27日にようやく武漢市を視察した。感染発生から約1カ月後、初めて最高指導部メンバーが現場入りした。

感染対策より、デマ取り締まり

12月に新型肺炎の感染が発生した直後、中国当局はインターネット上で情報を投稿する市民を拘束した。最初に「市内にSARS発生」と発信した医師に反省書を書かせた。また、社会不安を恐れるため、医療関係者や鉄道関係者にマスクをつけないよう指示した。新型肺炎治療の指定病院である武漢協和病院の医師は中国メディアに対して、「初動が適切なら、(感染者の)50%が感染を防げたかもしれない」と述べた。

武漢市が1月5日、同市人民代表大会(議会)に対して政府活動報告を行った際、新型肺炎の感染について触れなかった。1月19日、武漢市では、旧正月を迎える大規模な宴会、「万家宴」が行われた。4万世帯余りの市民が参加したという。21日、湖北省の王暁東・省長と蒋超良・党委員会書記らは、旧正月関連のイベントに出席し、踊りや歌などを鑑賞した。

1月23日早朝、武漢市が突如、交通機関の停止を発表し、事実上、市全体を閉鎖した。海外主要メディアはそろって、一面トップでこの情報を報じたが、同日の党機関紙・人民日報の一面トップは習近平国家主席の旧正月祝賀イベントへの出席や、党の長老らに対する慰問を報道し、武漢市について言及しなかった。

在米経済学者・何清漣氏は大紀元への寄稿記事で、共産党指導部のトップダウンの意思決定プロセスが現代社会に適応できなくなった」と指摘した。

「SNSが発達する時代に、情報を公開せず、虚偽情報の取り締まりは、火に油を注ぐ効果を果たしている。かえってさまざまな不確実な情報を生み出した」

「『指導部の指示がなければ現場が動けない』というやり方は、2003年のSARS発生時にすでに問題を露呈していたのに、17年後もこのやり方を踏襲している。地方政府は事実隠蔽、世論誘導、安定優先などの政治任務を遂行する以外、感染症対策には全く有効な手立てを打ち出せず、最終的にウイルスを全世界にまん延させた」

(翻訳編集・張哲)

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