新型コロナ危機、全米に広がる可能性 NYクオモ州知事が警鐘

2020/04/03
更新: 2020/04/03

[ニューヨーク 2日 ロイター] – 新型コロナウイルス感染者が急増している米ニューヨーク(NY)州のクオモ知事は2日、同州は多くの面において米国全体の「縮図」で、「全米で今後起きるであろうことが現実に起きている」と述べて危機感を示した。

知事は、新型コロナ患者の治療で使われる人工呼吸器の利用が現在のペースで増え続ければ、6日後に足りなくなるとの見通しを示した。

同日時点でニューヨーク州で確認された新型コロナ感染者は計9万2381人、死者は2373人に達した。ともに全米の州別で最多となる。入院患者数も前日から10%増の1万3383人となった。

ロイターの集計によると、全米の死者はこの日、前日から900人ほど増え、5800人強に達した。感染者数は24万人となった。

ニューヨーク市だけで死者は1400人近くに上り、感染者は5万人を突破。市内の病院や遺体安置所はパンク状態となり、NY州葬祭業協会の幹部は「最悪のケースに備えてきたが、それがほぼ現実になりつつある」と語った。

<NYは1─2週間後に感染ピークか>

米政府の新型コロナ対策で陣頭指揮を執るペンス副大統領はFOXニュースのラジオ番組で、政権の予測モデルでは、NY都市圏の感染拡大は7─14日後にピークを迎えると示されていると述べた。また、トランプ政権が過去1週間で呼吸器4400台前後をNY州に輸送し、2日も追加分を送る予定だと語った。

米電気自動車(EV)大手テスラ<TSLA.O>のイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)はツイッターへの投稿で、2日夜にNY市への呼吸補助装置の出荷を始めると表明した。

NY選出のシューマー民主党・上院院内総務はMSNBCで、政権の医療機器管理体制を批判し、医療機器の生産・供給を監督する国家レベルの責任者を任命するようトランプ大統領に呼び掛けた。

トランプ氏はツイッターで、NY州は他の州より多くの支援を連邦政府から受けていると指摘し、シューマー氏と地元当局者らは文句を言うのをやめるべきだと訴えた。医療機器はずっと以前に備蓄すべきだったとも述べた。

一方、全米の人口の約9割が、新型コロナ感染拡大防止のための外出制限の対象になっているとみられ、景気への悪影響が表面化しつつある。労働省がこの日発表した3月28日終了週の新規失業保険申請件数は664万件と、前週から倍増し、2週連続で過去最多を更新した。

パイパー・サンドラー(シカゴ)の債券戦略部門責任者、ジャスティン・ホーゲンドーン氏は「息をのむ数字だ」と指摘。「即座に恐怖を抱かせるような指標だ」と述べた。

米娯楽大手ウォルト・ディズニー<DIS.N>は同日、必要不可欠な人員を除き、19日から従業員の一時帰休を始めると明らかにした。

Reuters
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