大紀元時報

情報BOX:モーリシャス沖座礁事故、日本船の賠償が焦点に

2020年08月14日 14時33分
8月14日、インド洋モーリシャス沖で起きた貨物船「わかしお」の座礁事故は、燃料の流出が生態系に深刻な影響を及ぼす中で、長鋪(ながしき)汽船(岡山県笠岡市)と商船三井の賠償責任が焦点の1つだ。12日撮影(2020年 ロイター/Reuben Pillay)
8月14日、インド洋モーリシャス沖で起きた貨物船「わかしお」の座礁事故は、燃料の流出が生態系に深刻な影響を及ぼす中で、長鋪(ながしき)汽船(岡山県笠岡市)と商船三井の賠償責任が焦点の1つだ。12日撮影(2020年 ロイター/Reuben Pillay)

[東京 14日 ロイター] - インド洋モーリシャス沖で起きた貨物船「わかしお」の座礁事故は、燃料の流出が生態系に深刻な影響を及ぼす中で、長鋪(ながしき)汽船(岡山県笠岡市)と商船三井<9104.T>の賠償責任が焦点の1つだ。長鋪汽船は13日、モーリシャス政府から損害賠償を求められていることを明らかにした。

この船には持ち主である長鋪汽船のほか、チャーターした立場の商船三井が関わる。いずれも賠償責任を負うのか、どのくらいの損害額、賠償額が予想されるのか、保険でとこまでカバーされるのか、以下にまとめた。

<賠償責任は誰に>

国際条約上、燃料油の流出による環境汚染に対し、損害賠償責任を負うのは船の持ち主。今回の場合は長鋪(ながしき)汽船となる。2001年に採択され、08年に発効した「バンカー条約」に基づくもので、「わかしお」を用船した商船三井に責任は及ばない。

長鋪汽船の長鋪慶明社長は13日、「賠償については適用される法に基づき誠意を持って対応する」との声明を発表。商船三井の小野晃彦副社長は9日の会見で、「風光明媚なコーラルリーフのエリアでもあり、野鳥の保護区も近くにある。深刻にとらえている」と語った。

<損害額の規模>

長鋪汽船が加入する日本船主責任相互保険組合によると、損害予想額はまだ算定できる状態にない。船内に残っていた油はすべて抜き取り作業が終わったもようで、追加の流出は避けられる見通しとなったが、座礁したままの船体には亀裂の拡大が確認されている。天候など事故を巡る状況は刻々と変化しており、算定は難しいという。

<賠償額はどこまで膨らむか>

賠償額は船主責任制限条約によって上限がある。この条約には1976年の条約とその後改正された1996年の2つがあり、それぞれ上限が異なる。東京の戸田総合法律事務所によると、モーリシャスが批准しているのは前者で上限およそ20億円、日本が批准しているのは後者で上限およそ70億円。どちらを採用するかは裁判所が決めることになるという。

<保険によるカバー>

賠償金は長鋪汽船が加入する日本船主責任相互保険組合が支払うことになる。額はまだ不明だが、格付け会社スタンダート・アンド・プアーズの惠村甲子朗アナリストによると、たとえ高額になっても10億ドル(約1060億円)まではカバーされる。これは世界の船主保険組合が作る「再保険」の仕組みがあるためで、日本船主責任相互保険組合を含む13の組合が支え合っている。

<過去の海難事故>

1997年に日本海で起きたロシアのタンカー「ナホトカ」の座礁事故は、6200トンの重油が流出した。船尾部は沈没し、船首部は福井県沖に漂着、島根県から秋田県の海岸が油で汚染された。日本の国土交通省によると、補償額は約261億円だった。

今回座礁した「わかしお」からは、1000トン超の重油が流出したと長鋪汽船や商船三井は推定している。

(取材:新田裕貴、竹中清、大林優香 記事執筆:久保信博 )

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