大紀元時報

アングル:西側メディア装うロシアの情宣戦略、旧ソ連の手口復活

2020年09月08日 18時50分
フリーランスで働く英国在住の記者、ローラ・ウォルターズさん(写真)は6月、非営利メディア「ピース・データ」の編集担当者らに、中国がニュージーランドに及ぼす政治的影響について1000語の記事を送った。ロンドンで2日撮影(2020年 ロイター/Toby Melville)
フリーランスで働く英国在住の記者、ローラ・ウォルターズさん(写真)は6月、非営利メディア「ピース・データ」の編集担当者らに、中国がニュージーランドに及ぼす政治的影響について1000語の記事を送った。ロンドンで2日撮影(2020年 ロイター/Toby Melville)

[ロンドン 2日 ロイター] - フリーランスで働く英国在住の記者、ローラ・ウォルターズさんは6月、非営利メディア「ピース・データ」の編集担当者らに、中国がニュージーランドに及ぼす政治的影響について1000語の記事を送った。帰ってきた反応には熱がこもっていた。

「あなたの記事に深く感謝を申し上げます。中国(あるいはロシア)のような全体主義国家は世界中で、最も強力な民主主義国家に対してさえ何とか方法を見つけて干渉しようとしている。信じ難いことですね」。ロイターが閲覧したこの電子メールは、コミュニケーション・マネジャーのアリス・シュルツ氏から6月15日付で送られてきたものだ。

しかし、シュルツを名乗る人物からのメールこそ、そうした「干渉」の一環らしいことが分かってきた。

<左派有権者への影響力ねらう>

フェイスブック<FB.O>とツイッター<TWTR.N>は1日、米連邦捜査局(FBI)の情報提供を受けて調査した結果、米国、英国その他諸国の左派有権者を狙ったロシアによる政治干渉運動で、ピース・データが中心的役割を果たしていたことが判明した、と発表した。

フェイスブックによると、ピース・データはフリー記者をそそのかして雇い、米大統領選や新型コロナウイルス感染症の世界的大流行、西側諸国の「戦争犯罪」などをテーマに記事を書かせることに成功していた。

ピース・データに執筆した記者6人への取材と、ロイターが閲覧した電子メールによって、ソーシャルメディアを通じた記者らへの接近手法や、1本当たり最大250ドル(約2万7000円)という報酬のほか、時として記事に政治的な切り口を入れるよう促していた実態が明らかになった。

ピース・データの共同編集者、ベルナデット・プラスキルを名乗る人物はロイターに電子メールで、「そうした指摘に非常に困惑しており、指摘を全面的に否定する」と告げてきた。この人物は電話やビデオコールでのやり取りを拒否した。

折しもロシアに関しては、2016年に続いて今年11月の米大統領選に再び介入しようとしていると警告する声が出ている。

ロシアはこうした指摘を繰り返し否定。ロイターは2日、ピース・データについて同国にコメントを要請したが、今のところ返信は得られていない。

ウォルターズさんは「自分が書いた記事は、まさに16年(米大統領選)にロシアが干渉したことに触れていた。今ではその皮肉が身にしみる」と語る。この記事の報酬は250ドルだった。

<多くの記者が知らずに協力>

ピース・データの「スタッフ」は通常、ウォルターズさんなどの記者に、ツイッターのダイレクトメッセージかビジネス特化型ソーシャルネットワークのリンクトインを通じて接触する。報酬は記事1本当たり100ドルから250ドルで、インターネット送金で即座に振り込まれる。

ロイターが取材した記者は全員、ピース・データの背後にロシアがいることを1日時点まで知らなかったと答えた。

一部の記者は、コロナ禍中に簡単に金を稼げる仕事だと思った、と話した。この仕事を業界でのチャンスと見た記者志望者もいた。うち1人は5月に出た記事について「自分の記事が独立系ニュースメディアに掲載されたのはこれが初めてだった」と語る。

ピース・データ側から政治面で明白な指示を受けなかった記者がいる一方、編集方針を不快に感じた者もいる。

ウィキリークスの創始者ジュリアン・アサンジ氏やトルコについての記事をピース・データに執筆した記者は「私の記事に大げさな政治的切り口を入れられた」と説明。「政治テーマについて特定の視点からフォーカスを絞るよう繰り返し求められたため、みるみるうちに、ニュース記事とは言えない代物になった」と話した。

ジョンズ・ホプキンス大のトーマス・リド教授によると、偽組織を使い、人々を無意識のうちにプロパガンダのエージェントや活動家に仕立てる手法は、旧ソ連時代にさかのぼる。

16年以降、オンラインで影響力を強化する取り組みが増えるにつれ、「正体を隠し続ける」ために旧来の手口に先祖返りしたようだとリド氏は言う。

<「誰でもだまされかねない」>

フリー記者のウォルターズさんは自身の経験を振り返り、オンラインで人々をだます手口を市民に周知することの重要性が示されたと話す。

「ここまで(手口が)洗練を極め、ここまで力を注いでいるのは、彼らがそれだけの価値があって成果が出ると考えているからに違いない」とウォルターズさん。

「私がだまされるなら、だれでもだまされ得ると思う。ただ私自身、こんなに興味深い体験は今後相当遠い先までできないだろう」

(Jack Stubbs記者)


フリーランスで働く英国在住の記者、ローラ・ウォルターズさん(写真)は6月、非営利メディア「ピース・データ」の編集担当者らに、中国がニュージーランドに及ぼす政治的影響について1000語の記事を送った。ロンドンで2日撮影(2020年 ロイター/Toby Melville)

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