大紀元時報

1分以内に「違法」な会議を停止 ビデオ会議大手ズーム、中国当局の指示に従う=米検察

2020年12月22日 20時55分
ズームのロゴ(Getty Images)
ズームのロゴ(Getty Images)

米連邦検察官が12月18日、ニューヨーク市ブルックリンの連邦裁判所に提出した訴状によると、ビデオ通話大手ズーム(Zoom)の幹部は中国当局と協力して、中国国外のユーザーのデータを当局に提供していることがわかった。中国共産党は国内企業のみならず、ズームのような外国企業に対しても、ユーザーを監視し、検閲するよう要求している。

起訴されたのはズームの浙江省の支社でセキュリティ技術リーダーを務めた金新江(Jin Xinjiang)容疑者。同容疑は天安門事件の31周年を記念したオンライン会議を停止させたことに関与している。

訴状は、同社従業員の間の内部コミュニケーションについて詳述している。それによると、中国治安当局はズームに対して、中国共産党がタブー視する政治、宗教の話題を取り扱うユーザーや会議のデータを何度も要求していた。

ズームは、中国当局の要求の大半に応じ、時には中国国外のユーザーの検閲にも協力した。

ズームはカリフォルニア州サンノゼを拠点とする企業。山東省出身の技術者で米技術大手シスコ(CISCO)の元技術担当副社長エリック・ヤン(袁征)氏が2011年に創業した。

カナダ・トロント大学の研究機関の調査報告によると、ズームは中国に設置した3つの支社でソフトウエアやアプリを開発している。北京にあるデータサーバーに会議の暗号化と復号化のキーが転送されている。ズームは後に、データ送信先が「誤って」中国のサーバーに追加されたと釈明した。

訴状によると、金容疑者はズームのなかで、中国の法執行機関および情報当局との連絡係を担い、検閲の命令を受け取っていた。天安門事件について少なくとも4つのズーム会議を閉鎖するよう指示されていたという。これらの会議は、米拠点の中国反体制派が主催した。

米議員などは、米拠点のIT企業が中国共産党の言論検閲を受け入れていると批判した。ズームは、イベントの参加は中国では「違法」とされているため、対応したと説明した。

 

金は米国で拘束されていないが、有罪の場合、最高10年の禁固刑を言い渡される可能性がある。

ズーム、ポルノや暴力で証拠を捏造

訴状によると、金はまた、5月と6月にも在外中国人主催の天安門事件の関連会議に潜入した。金は共謀者とともに、イベント利用者の「規約違反」を捏造するために、暴力やテロ支援、児童ポルノの映像を流したという。金らは、この捏造した証拠を根拠に、会議の中断と米国民主活動家のアカウントの停止を行った。

ズームは18日の声明で、連邦捜査局の調査に協力し、内部調査を開始したと述べた。ズームは、金が「限られた量の個人ユーザーデータを中国当局と共有していた」ことを認めた。

中国共産党の検閲は、民間や外資にかかわらず、中国国内で活動するすべての企業の中国共産党政権に批判的な話題や、中国共産党により迫害されている宗教組織に関する話題などを検閲している。また、外国企業は中国国内のサーバーに保存した中国のユーザーデータを当局に提供することを求められる。こうした当局からの命令を受け入れなければ、中国市場から締め出される恐れがある。

訴状によると、ズームと中国当局をつなぐ連絡係の金は、中国のインターネット規制当局である中国サイバースペース管理局、中国の最高情報機関である国家安全部、および政権の法執行機関である公安部などから指示を受けていた。

金は、中国共産党が「違法」とみなす議論を積極的に検閲し、妨害した。例えば、2019年8月、ズームの米国サーバー上で会議を行なっていたキリスト教の組織を特定し、米国の同僚に「中国のカルトだ」と伝え、対象ユーザーの利用機能を制限させた。

起訴状によると、2019年9月上旬、中国共産党政権はズームの国内での運営を停止した。運営再開を望むズームに対して、中国当局は「是正」計画の提出を求めた。その計画には、中国共産党が受け入れないと判断した政治的見解などを積極的に監視すること、約100万人のユーザーデータの保管場所を米国から中国に移すこと、中国のセキュリティ当局が同社システムへのアクセスを許可するなどの内容が含まれる。

ズームは、中国サービスを2カ月後の11月に再開した。

中共ウイルス(新型コロナウイルス)の感染拡大に伴う利用者の増加を受けて、中国当局はズームにさらに厳しい管理を課したという。ズームは、当局からの指示を受けてから1分以内に「違法な」会議やアカウントをシャットダウンする機能を開発するよう要求された。

金は、中国共産党の指示に従って、米国のサーバーに接続できる権限を要求していた。また、六四天安門事件の記念日前は、公安当局が監視を強化しているとし、中国のネット警察が米国サーバーを含む全ての中国国内ユーザーのデータを追跡していると米国の同僚に伝えていた。ズームの中国支社には国家安全部や公安が頻繁に訪れているという。

金はほかにも、中国ネット警察が要求する中国国外の「新疆ユーザー」のデータを提供するよう米国の同僚に求めた。中国北西部の新疆ウイグル自治区では、中国共産党がウイグル人に対して収容や監視を行っている。米国のズーム従業員は、約2万3000件のユーザーアカウントの資料を金に送っている。

ズーム社の声明によれば、この「新疆ユーザー」のデータは匿名化されており、「中国政府と共有されているとする理由はない」と説明している。

企業の説明責任を問う

米国を拠点とする人権団体「人道中国」の創設者・周鋒鎖氏は、ズームの利用により会議の登壇者がのちに拘束されたと大紀元の取材に答えた。

周鋒鎖氏は、米国企業が中国に進出するために当局の検閲を受け入れることは「ビジネスの協力ではなく、中国共産党政権との直接的な協力だ」と述べた。「彼らは民主運動家を弾圧し、人権を侵害する政権機構の一部となっている」と批判した。

ビデオ会議大手となったズームは、ビジネス界に多大な経済的影響力を持っている。周鋒鎖氏は、今回の米検察当局のズームの元幹部に対する起訴を支持し、引き続き中国市場に参加する米企業を監督して、北京との共謀には説明責任を果たさせることが重要だと述べた。

ジョン・デマーズ司法長官補佐官(国家安全保障担当)は起訴の発表と同時に出した声明の中で、中国で利益を得るすべての企業は「中国共産党の強制性から免れられない」とした。また「会社を繁栄させてきた価値観にも反する、抑圧的な(中国当局の)活動に取り込まれてしまうかもしれない」と中国市場の活動に警告を発した。

(Cathy He/翻訳編集・佐渡道世)

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