大紀元時報

内容追加 <独自>「日本の健康な高齢者を中国で受け入れ」中国居住型介護プロジェクト ヘルパー募集も始まる

2021年02月21日 14時00分
2020年4月、北京の公園内で散髪する高齢者(NOEL CELIS/AFP via Getty Images))
2020年4月、北京の公園内で散髪する高齢者(NOEL CELIS/AFP via Getty Images))

「中日両国政府が主導。中国に移住した日本人高齢者をケアする介護職員を募集」こんな求人広告が1月末、中国のウェブサイトに掲載された。募集人数は45人という。

仕事内容は、中国で日本の高齢者を介護することだと書かれている。この広告は、在日の中国人(日本籍取得者を含む)を募集対象とするもので、要件は「日本語能力はN3級以上」「介護や高齢者のケアに関心のある方」などのほか、「現在日本にいる中国人の医療従事者(医師、看護師)または介護士やソーシャルワーカーを歓迎」としている。中国人留学生や転職希望の実習生の応募も歓迎するという。

また広告によると、この中国居住型介護の顧客は「65~73歳の健康な日本人」で、中国に渡航して、旅行などを楽しみながら「余生を過ごす」というもの。この介護の仕事は2021年4月30日にスタートするとし、就業者には「日本の保険と厚生年金が適用される」とある。

この求人広告を出稿した人物に連絡を試みた。この人材募集は、名古屋の中国総領事館が公表した日中共同の高齢者介護プロジェクトだとの回答だった。

岐阜市で発表会

中国総領事館の公式ホームページによれば、2020年12月5日、岐阜県岐阜市のホテルで「日本人高齢者が中国で日本と同様の介護サービスを受けられる5カ年計画<2021-2025>(中国語は日本老年人赴中国旅居养老五年规划)」と題された発表会が開かれた。

中国衛生委員会が管理するメディア・健康中国観察はこの発表会について報じている。岐阜1区選出議員である野田聖子自民党幹事長代行と、駐名古屋中国総領事館の劉暁軍総領事が出席し、講演した。同メディアは「中国には数十万人規模の日本人高齢者を受け入れる介護サービスを行うポテンシャルがあり、介護保険を含む日中越境サービスは始動する」と伝えている。

この報道に基づくとする中国民間メディアによれば、「野田議員は計画を積極的に推進するため、厚生労働省など関係組織と連携して作業部会を設置し、中国当局関係機関とも協働する考えを示した。また、中国で介護サービスを受けるための認定基準や保険金の計算などを含め、試験運行を進めたいと述べた」と伝えている。

大紀元は野田議員に取材を申し出たが、記事発表までに返事は得られていない。

12月5日の計画発表会は、この越境介護サービスを一手に請け負う株式会社シルバータイムズの会社設立発表会を兼ねている。同社は2020年10月に岐阜県で設立。北京出身で、現在は日本国籍をもつ帝井少輔(てい・しょうゆう)氏が代表取締役を務める。同社の最高顧問は、野田聖子議員の後援会会長が務めている。

日本企業であるシルバータイムズは、同社より先んじて中国で8月に創業した中科合拓健康養老(浙江省湖州市)が100%出資している。中国企業情報サイト・企査査(QCC.com)によれば、中科合拓健康養老は、中国国務院傘下組織から出資を受けた企業が100%投資して設立した企業だ。

中国企業情報サイト・企査査(QCC.com)を基に出資の流れを作成(大紀元)

健康中国観察の報道によれば、シルバータイムズの親会社である中科合拓健康養老は、全国政治協商会議傘下のシルクロード企画研究センター、中国検験認証集団や中国普天信息産業集団などの中央企業と協力して、国際的な高齢者関係の健康ビジネス産業を作っている。

また、2021年には、中国に「健康な」日本人高齢者の第一陣を受け入れる予定だという。

中国官製メディアなどが伝えている、日本人高齢者に中国で介護サービスを施すという日中共同計画の詳細を伺うため、大紀元は厚生労働省の老健局と大臣官房国際課に問い合わせた。しかし、「このような計画は(情報が)きていない」との回答だった。岐阜県および岐阜市にも尋ねたが、「初耳だ」と計画を認知していないという。

冒頭の求人広告には、「日本の保険と厚生年金が適用」とある。しかし、現行の厚生年金制度では、日本と中国は年金保険の二重負担防止協定を結んでおり、長期に中国滞在する場合、日本の厚生年金加入者は切り離されることになる。また、日本の介護保険制度は、日本に滞在する高齢者に適用するもので、海外居住者は対象外になる。国民健康保険では、日本から転出して海外に住む場合は離脱手続きを取ることになる。

「3か月から最大半年までを想定」

2月18日、シルバータイムズ代表取締役社長の帝井氏から話を伺うことができた。同社の計画では、日本人高齢者が訪問ビザ(Fビザ)で中国滞在が可能な3か月から最大半年までを想定した短期の越境介護サービスだと説明した。

帝井氏によれば、シルバータイムズは公式サイトの説明通り、中国国家衛生健康委員会(厚生労働省に相当)が管理する健康中国研究センターの業務指導を受けている。今後、日本国内の介護施設運営企業を買収し、子会社化する予定。顧客である日本の高齢者に対して、上海、北京における同社中国別館での越境介護サービスを考えているとした。「日本の高齢者が中国別館でも日本と同様の介護サービスを受けられることで、日本国内の介護人材不足の深刻化の解消に役立てたい」と語った。

日本では介護サービスは公共福祉に重なる分野が多いが、中国では中間層以上が受けるビジネスの色合いが濃い。民間の医療や健康アドバイザーなどの高齢者サービスを集中させた包括ケアシステム地区の設置や、医療サービス付き富裕層老人ホームなど多様なビジネスが存在している。2025年には2億人、37年には4億人の高齢者人口を抱える中国にとって、介護市場は非常に大きい。

日本人高齢者の介護保険について、中国滞在中の介護サービスは適用外になるだろうと述べた。「中国の介護施設を利用するにあたって、日本の介護保険が適用する法律はなく、法の整備の過程までも非常に複雑であり、日中両政府レベルの協定がなければ、現実的ではない」とした。

さらに、現在中国に居住する日本人高齢者向けの介護サービス施設を設けたいとも語った。中国にいる日本人高齢者は介護施設に入ることが難しく、受け入れ先が限定されているという。

帝井氏は、「五カ年計画」について、中国健康研究センターの企画であり、まもなく発表されることを期待するとした。ただ、冒頭のヘルパー人材募集について、同社の募集ではないと関与を否定した。

野田議員の発表会における発言について伺った。議員は、「中日両国が老人介護分野での実務協力が成果をあげること、ポストコロナ時代における日中両国の互恵ウィンウィンの促進、共同発展につながるよう、計画には期待を寄せた」という。しかし、中国国内の一部民間メディアが報道している議員の発言は「事実ではない」とした。

(佐渡道世)

(2021日2月21日13時、後半を加筆しました)

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