EU、コロナワクチンの輸出規制強化へ

2021/03/25
更新: 2021/03/25

[ブリュッセル 24日 ロイター] – 欧州連合(EU)は24日、新型コロナウイルスワクチンの輸出規制を見直し、接種率がEUよりも高かったり、自国のワクチンを輸出していなかったりする英国などの国に対するワクチン輸出の差し止めを容易にすることを提案した。

英国はEUの「ワクチンナショナリズム」をけん制しており、EUを離脱した英国とEUの関係が緊迫化する恐れがある。

これに対し、EUの行政執行機関、欧州委員会のドムブロフスキス委員(通商担当)は記者会見で今回のワクチン輸出承認制度が特定の国を対象にしているわけではないと話した。

欧州委の提案は25日にオンラインで開催するEU首脳会議の議題になる見込み。欧州委の提案は「特定多数」が反対しない限り、導入される。特定多数が反対する可能性は低い。

EU加盟27カ国の通商政策を監督する欧州委は、製薬会社によるワクチン輸出が域内の供給逼迫を悪化させないことを目的とした既存の方策を拡充することを提案。ワクチン輸出を承認するかどうかは、互恵協力、輸出先のコロナ感染の状況とワクチン接種率、ワクチンへのアクセスを含めた「均整」を基準に審査する。

EU当局者によると、輸出先の国の製薬会社が四半期ごとの供給契約を尊重せず、四半期末にまとめて供給するような場合もEUが輸出を差し止める可能性がある。

ドムブロフスキス氏は、承認の有無を決める詳細な手順を定めているわけではなく、輸出要請は1件ずつ審査すると明らかにした。

新たな規制はイスラエルやノルウェー、スイスなどの近隣17カ国も対象としている。これまではこれらの国への輸出の承認はいらなかったが、今後は必要となる。

EU各国は新型コロナ感染の第3波に見舞われており、ワクチン接種の進展が遅れている中で新型コロナの感染拡大を抑えるための封鎖措置を強化している。

フランスやドイツ、イタリアは総じて、互恵協力がない国に対する輸出規制の強化に賛同している。一方でオランダやベルギー、アイルランドなどは英国を切り離すことに慎重な姿勢を示している。

Reuters
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