北アイルランド巡る週内協議、英・EUとも相手側に歩み寄り要求

2021/06/07
更新: 2021/06/07

[ロンドン 6日 ロイター] – 欧州連合(EU)と英国は6日、英領北アイルランドの通商を巡る今週の協議を控え、英国はEUにより現実的になるよう要求する一方、EUは信頼再建に努めるよう英国に求めた。協議は9日に再開すると見込まれている。

英国が昨年にEUからの離脱を完了して以降、英とEUの関係は悪化しており、双方が離脱協定の一部である北アイルランド議定書の履行に不誠実だと批判し合っている。

議定書により、EU加盟国のアイルランドと陸地で国境が接する北アイルランドについては英本土からのモノの移動に一部検査が導入された。

この検査を巡り、北アイルランドの親英国派「ユニオニスト」の間では離脱協定によって英本土から切り離されたとの思いが生まれている。ユニオニストは、そうした情勢の転換は30年に及ぶ紛争を終結させた1998年の和平合意を損なうものだと指摘している。

バレデアルメイダ駐英EU大使はタイムズ・ラジオに対し、「われわれは結局のところ、解決策を見いだすための最低水準の信頼を再構築する必要がある。私はそうできると依然信じている」と述べた。

大使は、EUと英国間の「厳格な」境界ができるのを回避するために定められた北アイルランド議定書について、実行可能な代替案は提示されていないと説明。その上で、英国に取り決めを尊重するよう求めた。

一方、EU関係を担当する英閣僚のデービッド・フロスト氏は、EUの交渉官は協議に関する「新たなプレーブック(規則集)」を採用する必要があると指摘した。

英紙フィナンシャル・タイムズによると、同氏はEUが現実主義を強め、「法的純粋主義」を弱める必要があるとコメント。「われわれは交渉での解決策に向け作業を続ける。しかし、時間切れになり始めている。われわれは近いうちに進展が必要だ。週内に進展できると私は期待している」と語った。

その上で、英国は取り決めを機能させるために既に大きく譲歩したと付け加えた。

Reuters
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