米、新疆ビジネス巡り企業・個人に警告 「国内法違反の恐れ」

2021/07/14
更新: 2021/07/14

[ワシントン 13日 ロイター] – 米政府は13日、中国の新疆ウイグル自治区での強制労働や人権侵害の深刻さを踏まえ、同自治区に関連する投資やサプライチェーン(供給網)から撤退しない企業や個人は、国内法に違反する高いリスクを負う恐れがあると警告した。

国務省や財務省、商務省、国土安全保障省、労働省、通商代表部(USTR)は連名で勧告文書を発表。米国企業への警告を強化し、ウイグル自治区における中国政府の「膨大かつ拡大する監視ネットワーク」に「間接的」にでも関与している場合、国内法違反と見なす可能性があると述べた。投資会社からの資金援助も警告対象になるとした。

財務省は、中国による新疆や香港での弾圧を受けて米国が今週中にさらなる制裁を科すとした英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)の報道について、コメントを控えた。

事情に詳しいある関係筋はロイターに対し、米政府が新たな制裁措置を準備していると聞いているが、時期についての詳細は不明だと語った。また、別の関係筋は、香港情勢が悪化していることから、早ければ16日にも香港を対象とした同様の勧告が発表される可能性があると述べた。

今回の勧告文書は、中国政府が新疆ウイグル自治区やその他の地域で「ウイグル人、カザフ人、キルギス人などイスラム教徒を中心とした少数民族を対象とした恐ろしい虐待」を続けていると指摘した。

中国は虐待疑惑を否定し、新疆の収容所については宗教過激主義に対処するための職業訓練施設だとしている。

USTRのキャサリン・タイ代表は、カナダやメキシコをはじめとする米国のパートナーや同盟国が強制労働による製品の輸入禁止を約束したことを評価。声明で「同盟国が、公正でルールに基づいた国際貿易システムにおいて、強制労働の存在する場所はないという明確なサインを送ったことを称賛したい」と表明した。

国務省のプライス報道官は定例記者会見で、香港当局に法の支配の侵食に対する責任を引き続き追及し、強制労働を含む人権侵害への責任を負う中国当局者らに制裁を課すと述べたが、新たな措置について具体的には言及しなかった。

米政府は9日、ウイグル自治区での人権侵害疑惑とハイテク監視疑惑を理由に、14の中国企業・団体を経済ブラックリスト(エンティティー・リスト)に追加した。

Reuters
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