[シドニー 28日 ロイター] – 豪競争・消費者委員会(ACCC)は28日公表の報告書で、米アルファベット傘下グーグルによるオンライン広告の独占はメディア企業や広告主、消費者に悪影響を与えるまでに確立されているとし、ターゲット型広告のための利用者情報の使用を規制する権限が必要、と指摘した。
ACCCは報告書で、グーグルのオンライン広告の独占はあまりにも固定化されており、既存の法律では反競争的行為を抑えるには十分ではないとの見解を表明。
豪州の「広告テック」サプライチェーン(供給網)上で出稿された広告の2020年のクリック数の9割以上が、グーグル傘下のサービスを少なくとも1つは経由したと明らかにした。
ACCCのロッド・シムズ委員長は声明で「グーグルが、垂直統合型の地位を使って広告テックサービスを展開するその手法によって、時間の経過とともに広告テック業界の競争力が弱まってきた」と強調。
この結果、グーグルは広告テックのサプライチェーンで支配的地位を固めたとし、利益相反に対応して反競争的な自社優遇を阻止し、競合する広告テック提供会社が競争できるようにするためのルールの検討を提言した。
ACCCは、グーグルは検索エンジンやマップ、動画投稿サイト「ユーチューブ」といった自社サービスで得た大量の利用者情報の恩恵を享受しており、この情報を広告事業でどのように活用しているかについて、情報開示の透明性を高めるべきだと注文を付けた。
その上で、マップなど1つのサービスで収集したユーザー情報を、競合会社が同じメリットを得られないまま、ターゲット広告事業で活用するのを阻止するルールの必要性を訴えた。
今回の報告書はACCCが進めているオンラインプラットフォームに関する調査の一環。
グーグルは、広告部門はオーストラリアで1万5000人以上の雇用に影響し、同国経済への寄与は年間24億5000万ドルと説明。広報担当者は「オーストラリアで広告テクノロジーを提供する数多くの事業者の一つとして、われわれは引き続き業界や規制当局と協力し、広告の健全なエコシステムを支えていく」と述べた。
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