中国の火力発電所。2011年撮影(STR/AFP via Getty Images)

中国の電力不足、世界サプライチェーンにさらなる混乱=報道

中国当局による電力の使用制限は自国経済に打撃を与えるだけでなく、グローバルサプライチェーンに対しても深刻な影響を与えるとみられる。

習近平国家主席は昨年、二酸化炭素(CO2)排出量を2030年までに減少に転じさせ、2060年までに実質ゼロにするとの方針を打ち出した。

今年3月5日に開幕された全国人民代表大会(全人代、国会に相当)で発表された2021~25年の経済発展5カ年計画は、この方針に基づき、21年にエネルギー強度(一定の国内総生産を創出するために必要なエネルギー消費量)を約3%削減すると明記した。李克強首相が政府活動報告の中で、今後「化石燃料への依存を減らす」などと明確に述べた。

現在、20の省政府が電力使用制限を実施している。各地の地方政府は、鋼鉄、アルミ、セメント、化学工業、ソーラーパネルなど、エネルギー消費量の高い産業に対して操業停止を命じた。このため、鉄鋼やアルミなどの供給は需要に追い付けず、一部の商品価格が急騰している。中国当局の電力使用制限の実施期間が長ければ、供給の遅れが一段と長引くとみられる。

中国国営中央テレビ(CCTV)は28日、中国東北部での深刻な電力不足は短期的に解決できないと示した。

いっぽう、米CNN28日付は、中国での電力供給危機は、グローバルサプライチェーンに打撃を与えていると指摘した。一部の国際的なサプライヤーは、中国商品の供給不足と世界的な輸送の遅れへの対応を迫られている。

米アップル社に部品を供給し、iPhoneを組み立てる台湾企業、和碩聯合科技(ペガトロン)は、生産の完全停止を回避するため、地方政府との間で「省エネ体制を起動し、減産する」ことについて交渉しているという。同社は江蘇省昆山市に生産工場を持っている。江蘇省当局はこのほど電力供給を制限したと報じられた。

米専門家は、中国当局の電力供給措置はハイテク製品のサプライチェーンに新たな難題をもたらす可能性があると指摘した。しかし、自動車や洗濯機、他の電子機器に打撃を与えた半導体チップの世界的な不足ほど深刻ではないという。中国の電力不足による世界的な部品供給は「1週間ほど遅れる」と専門家は予測した。

昨年の中共ウイルス(新型コロナ)の大流行で、中国当局は感染拡大防止対策として、各地で厳格な都市封鎖措置を実行し、生産工場に稼働停止や閉鎖を指示したため、世界各国の企業のサプライチェーンが寸断した。各国政府は現在も、脱「中国依存」を図っており、サプライチェーン再構築に取り組んでいる。

米金融大手ゴールドマン・サックスは28日、「高いエネルギー強度の産業における生産活動の急激な低下」がみられたとして、中国の今年の経済成長率予測を8.2%から7.8%に引き下げた。

(翻訳編集・張哲)