自民党総裁選は29日午後に投開票が行われ、決選投票の結果、岸田文雄前政調会長が河野太郎行革担当相を破り、第27代総裁に選出された。東京都で12日、代表撮影(2021年 ロイター)

自民新総裁に岸田氏、1年越しの雪辱 衆院選へ挙党態勢を強調

[東京 29日 ロイター] - 自民党の総裁選は29日に投開票が行われ、岸田文雄前政調会長が決選投票で河野太郎行革担当相を破って1年前の雪辱を果たした。10月4日召集の臨時国会で第100代首相に選出される見通しだ。岸田氏は直ちに党役員人事を行い、その後の組閣と合わせて挙党態勢を整え、直後に控える衆院選に臨むことになる。新型コロナウイルス対応などで年内に数十兆円の経済対策を準備する。

<1年前の雪辱>

総裁選は1回目の投票で河野氏、岸田氏、高市早苗前総務相、野田聖子幹事長代行のいずれも過半数を得ることができず、1位の岸田氏と2位の河野氏による1対1の対決に持ち越された。決選投票では国会議員票と都道府県連票の合計で河野氏が計170票、岸田氏が計257票だった。

岸田新総裁は夕方の記者会見で「国民の声が政治に届かない、政治の説明が国民の心に響かない。こうした厳しい誠実な声があふれていた」と述べた。退任する菅義偉首相は新型コロナワクチンの接種を加速したが、発信力に欠けるなどとして支持率が低下。岸田氏は「いままさにわが国の民主主義そのものが危機にある」と語り、自民党への信頼回復に努めていく姿勢を強調した。

岸田氏は前年の総裁選で安倍晋三前首相の後継と目されながら、菅義偉現首相に敗北。今回は4候補の中でいち早く立候補を表明し、準備を進めてきた。

岸田新総裁はまず党役員人事を行い、10月4日召集の臨時国会での首相指名選挙を経て、首相に就任。あらたな内閣を発足させる。10月21日には衆議院議員の任期を迎えるため、遅くとも11月末までには衆院選が行われる見通し。また、来年夏には参議院選挙が行われる。

総裁選の期間中、岸田氏は令和版「所得倍増論」を掲げ、分配の重要性を訴えてきた。29日夕の初会見でも、「今こそ成長と分配の好循環を実現し、全国津々浦々に成長の果実をしっかり届けていきたい。できるだけ幅広い国民のみなさんの所得を引き上げる経済政策を取っていきたい」と述べた。

<総裁選、河野氏に大差>

今回の総裁選は直後に衆院選を控える中で、誰を党の顔にすれば総選挙に勝てるかという色彩が濃く、事前に接戦が予想されていた。

岸田氏は人気の高い河野氏に初回投票では及ばないとの前提で、決選投票での高市氏との連携を模索。現実的な選挙戦術が多数の議員からの支持獲得につながった形だ。来年夏に選挙を控える参院議員の間では、河野氏と比較して地味ながらも、答弁の安定した岸田氏を求める声が多かった。

河野氏は、各派閥内で衆院選に不安を感じる若手を中心に支持されたが、初回投票で党員・党友票の44%を獲得したものの、同陣営が期待していた「5割以上」には及ばなかった。

4候補が乱立する中、安倍氏が高市氏を、麻生太郎財務相が岸田氏を支持する一方、菅氏や森山裕国対委員長らが河野氏支持を表明。菅氏を多くの派閥が支えた前回とは違う様相となった。当初は出馬を模索していた石破茂元幹事長は出馬を断念し、河野氏支持に回った。

岸田氏は総裁選の勝利直後に壇上に立ち、「総裁選挙は終わった。ノーサイドだ。全員野球で自民党が一丸となって総選挙、参院選挙に臨んで行こう」と呼びかけた。

決選投票結果

議員票  都道府県票  合計

河野氏  131   39   170 

岸田氏  249    8   257

初回投票結果

議員票  党員票  合計

河野氏  86  169  255

岸田氏 146  110  256

高市氏 114   74  188

野田氏  34   29   63