[5日 ロイター] – 国連が支援する地球規模サンゴ礁モニタリングネットワーク(GCRMN)は5日、世界のサンゴ礁は気候変動の直撃を受けており、このまま海水温が上昇し続ければより広範囲な消失が起きるとのリポートを発表した。
リポートは、過去40年にわたる73カ国・1万2000カ所のデータを分析したもの。
2009─18年に世界のサンゴ礁の14%(1万1700平方キロメートル)が既に失われていると指摘した。
科学者らは、海面温度の上昇でサンゴ礁は「存亡の危機」にひんしているとの見解を示した。特に、科学者らが人類の活動に関連があると指摘する急激な温暖化の進行が被害をもたらしているという。
この研究では、世界10カ所のサンゴ礁地域を検証。その結果、消失は主に海水温上昇によるサンゴの白化現象が原因と分かった。
1998年に発生した深刻な白化現象では、このときだけで世界のサンゴの8%が消失。最も被害が深刻だったのは、南アジア、オーストラリア、太平洋、東アジア、西部インド洋、ペルシャ湾、オマーン湾だった。
乱獲漁業、持続可能でない沿岸開発、水質悪化も被害に拍車をかけている。
ただ科学者らは、2019年に約2%のサンゴ礁回復が見られたことも発見。破壊要素が緩和すれば回復の可能性があることが示された。
リポートは、サンゴ礁への有害要素がなくなれば、10年以内に98年以前の水準に戻る可能性があるとしている。