2019年10月2日、カリフォルニア州のサン・イシドロ入港地で、歩行者の書類をチェックする移民税関捜査局(ICE)の捜査官 (SANDY HUFFAKER/AFP via Getty Images)

米フェンタニル流行...メキシコで製造、原材料は中国から輸入 流通多様化で規制難

公表されている情報によると、中国では登録されたフェンタニルのメーカーであっても、商業賄賂やインターネットを通じたフェンタニルの違法販売、税関検査を逃れるための包装などを行っているという。

2018年12月1日、中国の王毅外相は、フェンタニルカテゴリーのすべての医薬品を規制すると発表。その直後、江蘇恩華薬業股彬有限公司と武漢人福薬業有限責任公司はフェンタニル製品を米国に輸出したことはないと声明を出した。

しかし、中国国営メディアは最近、武漢人福薬業の子会社が麻酔科医に賄賂を送り、フェンタニル系鎮痛剤4種を地元の病院に販売させたと報じた。河南省の医療当局から「著しく信用できない」企業と酷評されているという。

フェンタニルの違法販売には、麻酔科医も関与している。河南省では2人の麻酔科医が、フェンタニルを含む薬物をネット上で販売していたことが判明。地元の検察当局が提出した起訴状によると、そのうちの1人は2年足らずで約370万円を稼いでいた。

中国のフェンタニル取引は非常に機密性が多い。中国国営メディア・新華通信社によると、中国でのフェンタニルは「解毒」や「滋養」のサプリメントと表記され、インターネットや各種宅配便を通して取引が行われている。支払方法も多岐に渡り、監視の目をかいくぐっている。

米ジャーナリストと税関・国境警備局による調査

受賞歴のある作家・ベン・ウェストホフ氏は2019年、フェンタニルの顧客に扮して中国で1年間、潜入調査を行った。その年の暮れに出版した著書『フェンタニル:どのようにして、最悪な鎮痛剤の流行が生み出されるのか』で、違法に製造されたフェンタニルの大半は中国産だと指摘。米国の消費者への直接郵送か、メキシコのカルテルを通して米国に流入されていると述べた。

7月までに米国とメキシコの国境沿いで、テキサス州公安局が押収したフェンタニルは、前年の9.5倍にも達した。2100万人を死に至らせることができる量だ。

米中経済・安全保障検討委員会は8月に発表した報告書で「中国は2019年にフェンタニルを規制薬物として指定するとしたが、現在でも中国産の違法なフェンタニルが米国で蔓延している」と指摘した。「中国の密輸業者は、新しい規制をかいくぐるために、フェンタニルの前駆体の製造をインドに移し、第三国を経由して輸出するなど、さまざまな戦略を用いている」と述べ、中国の化学・製薬産業に対する監督・規制の脆弱性もフェンタニル蔓延の一因であると強調した。

米国税関・国境警備局(CBP)のトーマス・オブラッカー氏は、2019年7月の議会で、違法なフェンタニルの大半は自家用車や歩行者、商用車を介してメキシコ国境からに米国に流れ込んでいると語った。

米中経済・安全保障調査委員会などの報告書によるうと、メキシコ政府は港などで押収した違法なフェンタニルは6倍に増加し、その前駆体(原料)は中国から流入していると報告した。

北京師範大学の元准教授・李元華氏は、道徳の欠如が麻薬蔓延の根本的な要因だと強調。中国共産党関係者は「賄賂を受け取り、犯罪を手助けしている」と述べ、企業と政府の癒着や拝金主義などが薬物問題を深刻化させていると批判した。「中国共産党は、米国が被害を被るのを見て喜んでいる。ましてやこのようなことが、中国の国益を守ることだとさえ考えている」と主張した。

(翻訳編集・徳山忠之助)