米農業大手の中国籍科学者、経済スパイ活動認める 「千人計画」に参加

2022/01/07
更新: 2022/01/07

米司法省は6日、米農業大手モンサント社の元中国人科学者が、中国政府のために経済スパイ活動を共謀したことを認めたと発表した。同科学者は中国の海外人材招致計画「千人計画」に選ばれた一人である。

米ミズーリ州チェスターフィールドに住んでいた中国籍の向海濤被告(Haitao Xiang、44歳、音訳)は、2008年にイリノイ大学アーバナ・シャンペーン校で博士号を取得し、同年モンサント社に入社。デジタル農業、⼟壌肥料や養分管理研究を担当し、3件の⽶国特許を取得した。17年に「千⼈計画」の⼀⼈に選ばれた⾼度な技術を持つ研究者である。

裁判資料によると、向被告は2008~17年まで、モンサント社と子会社のクライメート社に科学者として勤務していた。2社は農家の農業生産性を向上・改善するために使用するデジタル・オンライン農業ソフトウェア・プラットフォームを開発した。このプラットフォームの重要な技術はNutrient Optimizerと呼ばれる独自の予測アルゴリズムだった。同被告はこの技術を盗もうとした。

向被告は、17年6月に同2社を退職し、中国国務院直属の最高研究機関「中国科学院」の土壌科学研究所に転職した。

中国へ渡航するため米空港を訪れた向被告は、荷物検査を受け、電子機器などを押収された。米当局はのちに、押収した電子機器にNutrient Optimizer技術のコピーが保存されていることを確認した。向被告はそのまま出国し、中国科学院の土壌科学研究所に勤務した。

向被告が米国に再入国した際、米当局に逮捕された。

ミズーリ州東部地区のセイラー・フレミング連邦検事は公式文書で、「向被告は大手国際企業の役職を悪用して、母国中国のために貴重な企業秘密を盗んだ」と述べた。

「これらの犯罪は米国経済に脅威を与え、技術革新と国家安全保障において我が国のリーダーシップを危うくする」とフレミング連邦検事は懸念を示した。

向被告への判決は4月7日に言い渡される予定。最高刑は禁固刑15年、500万米ドル(約5億8千万円)の罰金及び最長3年間の仮釈放。

米国では、千人計画に絡む不正が相次ぎ発覚している。19年4⽉、⽶司法省は米ゼネラル・エレクトリック社(GE)の中国籍元エンジニア2人を、同社の技術窃盗容疑及び産業スパイ容疑で起訴した。元エンジニアらは千⼈計画に参加し、中国政府から資⾦提供を受けていた。

20年1⽉、⽶司法省はハーバード⼤学の化学・化学⽣物学部の学部⻑だったチャールズ・リーバー氏(Charles Lieber)を、千⼈計画への関与について虚偽申告をした容疑で起訴した。同氏は中国政府から多額の資金供与を受けていたが、その事実を隠蔽した。

(翻訳編集・叶子静)

関連特集: 千人計画