ウクライナの教訓…常任理事国が当事者だと国連は機能発揮できず=安倍元首相

2022/02/21
更新: 2022/02/21

安倍晋三元首相はウクライナ情勢に関して、国連安保理で拒否権を持つ常任理事国が当事者である場合には、国連は機能を発揮できないと指摘した。拡張を続ける中国を念頭に、防衛力向上と日米同盟の強化を訴えた。17日、安倍氏自身の派閥「清和政策研究会」の会合に出席した際の発言。

安倍氏は目下のウクライナ情勢に関して、ロシアとウクライナの双方の認識や主張について語った。

ロシアは冷戦終結時に北大西洋条約機構(NATO)の不拡大を約束した米国の「密約」の存在を主張しており、ウクライナ東部2州の高度な自治権を認めるとした2015年の停戦合意「ミンスク合意」の不履行にも不満を抱いているとした。いっぽうロシアの軍事増強と威嚇は「許されるべきではない」と指摘した。

ウクライナについても、ロシア側が(武装勢力の撤退などを含む)ミンスク合意をしっかり履行していないという大きな不満を持っていると安倍氏は述べた。ウクライナは1994年まで世界第3位の核保有国だったが、米英露宇の署名するブタペスト覚書により核兵器を放棄。2014年、覚書の当事国であるにもかかわらずロシアは侵攻しクリミアを併合した。

安倍氏はウクライナを巡る一連の出来事を通して「紛争や衝突の当事国が国連安全保障理事会の常任理事国であった場合、国連は機能を発揮できなくなる」と指摘。中国共産党政権による軍事拡張が日本周辺地域で続くなか「さらなる防衛能力の強化と日米同盟の発展・強化が求められている」と語った。

国連安保理では17日、ウクライナ情勢をめぐる会合が開かれたが米露の主張が対立して応酬となった。外交交渉は続く見通しで、24日にはブリンケン米国務長官とラブロフ露外相による米露外相会談が行われる予定。 

ホワイトハウスは20日、バイデン米大統領はプーチン露大統領との会談を両国外相会談後に行うことを原則的に受け入れたと発表した。ロシアがウクライナに侵攻していないことが条件という。

日本の安全保障、外交、中国の浸透工作について執筆しています。共著書に『中国臓器移植の真実』(集広舎)。
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