台湾と断交した国「長期的な経済成長は見られない」=台湾研究機関

2022/07/21
更新: 2022/07/25

中国の圧力で台湾と国交を断絶した国は近年、増えている。台湾の最高学術研究機関である中央研究院の欧米研究所は5月、「台湾から中国に鞍替えした国々では長期的な経済成長が見られない」と指摘する研究報告書を発表した。米政府系放送局ボイス・オブ・アメリカ(VOA)20日付が報じた。

中国が台湾と国交を有する国を説得する方法は、主に「経済的脅迫」「外交支援」「貿易投資」などであると同報告書は指摘した。

現在、台湾と国交を有し、台湾を国と認めているのは、バチカン市国を含め14カ国となっている。

中国に乗り換えても続く「貧困」

調査ではアフリカ、ラテンアメリカ・カリブ海、中東欧、オセアニアの4地域の国について、中国や台湾との関係が経済に与える影響を比較した。台湾と断交後、中国へシフトした国、あるいは中国が提唱する巨大経済圏構想「一帯一路」に参加した国は、期待していた長期的な経済成長を得られなかったと結論づけた。

報告書はアフリカのマラウイの事例を挙げた。同国は2007年に台湾と断交後、中国と国交を樹立したが、2005~12年の間に中国からの直接投資で創出された雇用機会はわずか1万3000人で、中国が当初約束した30万人を大きく下回る結果となった。

中国と国交を結んだ時、当時のマラウイ大統領は「我が国は貧困から脱却できる」と喜んだが、10年以上経った今も、地元住民はマラウイを「貧しい国だ」と考えているという。

ラテンアメリカやカリブ海地域では、中国に乗り換えたことが現地の経済発展を助けたと示す証拠はない。コスタリカ、ドミニカ、グレナダなどは中国と国交を結んだ後、台湾と国交を有する国々と比べて、経済成長が緩やかになっているという。

報告書はまた、そうした国々は、中国の経済援助や投資により短期的な経済成長を経験するが、長期的には巨額債務や貿易不均衡などによって成長が止まる可能性があると指摘した。

いっぽう、台湾と国交を再樹立する国もある。太平洋南西部に位置するナウルは2002年に台湾との国交を断絶し、北京に切り替えたが、経済状況が改善しないため05年に再び台湾との国交を復活させた。

南太平洋のサモアは長年中国の同盟国であり、中国の資金援助もあって2000年以降経済が著しく成長したが、06年をピークに経済発展は減速し、ここ10年は停滞気味だった。中国が投資を続けているにもかかわらず、サモアの新首相は昨年、中国が出資する港湾プロジェクトを中止した。同国の対中債務はすでに高く、このプロジェクトを支援することは不可能だったからだという。

200ページを超えるこの調査は、米国務省の「グローバル関与センター(GEC)」や「戦争平和報告会(IWPR)」の資金提供を受けて行った。

(翻訳編集・李凌)

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