ベトナムの選択 司法支援は日本から 中国式の戸籍制度は廃止

2022/07/30
更新: 2022/07/26
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中国の上海、杭州、北京などでは共産党政権による感染症対策と行動規制「ゼロコロナ」で住民たちが苦悶している。こうしたなか、東南アジアの新興国ベトナムでは大型スポーツイベント「東南アジア競技大会」がハノイで5月開催された。競技場のほか街やビーチには人が集まり、開幕式に出席した指導者らはマスクを着用していない様子がスクリーンに映し出された。2か国は共産党体制ではあるが、かなり異なる道を選択しているようだ。

ベトナム政府はウイルス感染リスクや致死率、経済への影響を評価して大会開催を決めた。感染者対策は緩やかで、数日の自宅隔離に加え、症状が消えれば外出も可能という。外国人投資家が中国共産党の極端な感染症対策を避け、ベトナムに目を向けるのも理解できる。

抑圧的な政権に舵を取る隣国の失策から、ベトナムは利益を得た国だ。香港最高の富豪、李嘉誠氏を含め多くの投資家を引きつけ、経済発展へとつなげている。

ベトナム政府公式によれば、2022年第2四半期のGDP成長率は7.72%で、十数年ぶりの最高値となった。また、ベトナム通信社(VNA)の7月11日付けによれば、今年上半期は好景気に恵まれ、同年のGDP成長率は前年の5.5%から7.9%に達すると予想している。

ベトナムは経済回復がとりわけ強靭で、競争力を高め、産業の成長が世界で最も速い国の一つになった。ベトナムは、東南アジア地域で新型コロナの影響を受けて2年連続で経済がプラス成長した唯一の国でもある。

この好景気には、政府の効率的な生産発展計画と、投資環境への信頼の高まりなどがあるという。世界銀行、スタンダード・チャータード銀行、HSBCなどは、ベトナムがインフラ、株式市場、デジタル経済、再生可能エネルギー、医療衛生、物流などの分野で多くの外国の直接投資を誘致していると指摘した。

5月26日、大手信用格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)グローバル・レーティングは、ベトナムの長期国家信用格付けを「BB+」に上げ、「安定的」と展望した。同機関の最新の評価によれば、ベトナムは2022年に上方修正された唯一の東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国である。他の2つの主要な国際信用格付け会社であるフィッチとムーディーズも同様の評価だった。

トランプ元米大統領が2017年に「世界史で最も優れた奇跡の一つ」と喩えたベトナムは、共産党体制であるにもかかわらず、中国共産党とは異なる評価が与えられている。ここには国民による部分的な自由選挙、世論に対する傾聴姿勢、透明性、腐敗防止の取り組みがある。

2006年2月、ベトナムでは第10回党大会の前に、共産党中央委員会は政治報告書の草案を大胆に公開し、メディアと人民に自由な意見を求めた。2007年には直接選挙が実施され、857人の候補者のうち非共産党系が100人を超えた。選挙で選ばれた議員は後に、中国が関わる高速鉄道計画を停止させた。

2012年3月からは役人の財産申告制度を創設し、党、政府、軍および社会組織、国有企業幹部に個人の財産を公開するよう義務付けた。内容には個人所得、家計所得、不動産、海外資産、個人口座などが含まれる。

こうした民主主義的な政治制度発展に向けた取り組みが、経済発展を後押ししていると言えよう。国内経済の面では、ベトナムはすでに民間部門の企業数の急速な成長、より多くの雇用の創出、国内総生産(GDP)への貢献度の増大などに刺激を与えており、社会保障と福祉、特に貧困削減、雇用、社会保険、革命有功者政策などの面では良好循環に転じている。

中国共産党は戸籍を都市戸籍(一等公民)と農村戸籍(二等公民)との2種に分けていることが知られる。ベトナムはこれを模した戸籍制度を40年維持していたが、2017年に廃止した。2019年1月1日以降、ベトナムでは戸籍が個人情報記載のIDカードに置き換えられた。

差別的な戸籍制度が廃止されたベトナムでは7000万人の農民が都市市民と同じ教育、医療、年金の権利を享受する。中国ではこれら多くの問題が戸籍による差別で生まれている。戸籍による処遇の違いは、政府の犯す国民に対する差別行為である。

改革から30年が経ち、国民の生活水準は改善され、企業家の数は倍増。GDP成長率はコロナ禍前の数値で6%以上を維持した。このように人々の利益に合致する改革を推進した政権は、ASEANを牽引する経済国家となっている。

こうしたベトナムの国家的発展は、日本が多く寄与している。日本の国際協力銀行(JBIC)前田匡史代表取締役総裁が7月22日に訪問し、DXやインフラに対して融資や支援を提供することを表明した。迎えたファム・ミン・チン首相は、両国の広範な戦略的パートナーシップは、高い政治的信頼を持って順調に発展していると述べた。

日本はベトナムにとって主要な経済協力国、最大の政府開発援助(ODA)プロバイダーで、2番目に大きな労働協力国、3番目に大きな投資国、4番目に大きな貿易国である。

6月末には古川禎久法相がベトナムに訪問し、グエン・スアン・フック国家主席およびチン首相を表敬した。チン首相は過去30年間に日本政府、法務省と関係機関がベトナム政府部門に提供した司法支援と援助に謝意を述べた。その中でも、人材育成訓練、制度と政策構築の協力が最も密接であったことに触れ、さらなる日本からの継続的な支援を請うた。

ベトナムは司法制度の充実と国際社会への対応について、日本に協力を求めているのだ。中国共産党に伺うことなく、どの司法制度が良いのかを明確にした。これはまさに法治国家への道を開くための布石である。

ベトナムでも共産党単独政権が幕を閉じ、民主主義国家にやがて移行するだろう。そして、ベトナムと世界の趨勢に背を向ける中国共産党は、もはや退路しかないといえる。

(翻訳編集・佐渡道世)
周暁輝