中国の人口は一体どれほどなのか 公式データでは見えない数字

2023/02/09
更新: 2023/02/09

過去3年に及ぶ新型コロナウイルスの天災に加え、中国共産党という残虐非道な政権が引き起こした人災で、中国ではいったいどれほどの人が亡くなったのかーー。いくつかの統計から推計してみたい。

2021年5月に発表された中国の「第7回国勢調査」によると、2020年11月1日時点の中国の総人口は14億1178万人だという。しかし、出生数や高齢者の数などで不可思議な点がある。

公式統計によれば、2019年の出生数は467万人だった。しかし翌年、これが1173万人に急増した。2020年がどんな年だったのかは周知のとおり。新型コロナウイルスの世界的なパンデミックで、世界中で多くの命が失われた。コロナ禍に見舞われなくとも毎年の出生数は数百万人程度だった。なぜ急激に増えたのか。

また、「65歳以上の高齢者人口の急増」という不可思議な点もある。第7回国勢調査のデータによると、2020年の65歳以上の高齢者の人口は1億9064万人だ。その前の年(2019年)では1億7603万人だったため、1年で高齢者が1461万人も増加したことになる。

2020年の全人口の死亡者数は997万人だったが、亡くなるのはほとんど高齢者のはずで、このうち800万が高齢者としよう。つまり高齢者として新たに数えられた1955年生まれの人口が、1461万人足す800万人の2261万人になるはずだ。

しかし、中国当局が発表した同年生まれの人は2004万人だった。生まれてから65歳を迎えるまで誰一人死ななかったとしても、前出の推計による2261万人に届かない。250万人以上はどこから来たのか。

別の数字をみてみよう。同じく中国の「第7回国勢調査」のデータだが、それによると、2020年時点の0〜14歳の人口は2億5338万人だ。彼らは2007〜2020年の間に生まれている。いっぽう出生数の2007-2019年の13年間の合計は2億1123万人だ。

つまり、2億5338万人から2億1123万人を引くとその差は4215万人だ。しかし、中国当局が発表したこの年(2020年)の出生人口は1200万人だった。その差は3000万だ。3000万人もの赤ちゃんはどこから降ってきたというのだろうか。

これ以上例を挙げないが、中国の公式統計データは穴だらけだ。気になる方はぜひいろいろと計算してほしい。

なぜ中国共産党当局は過去の人口データと最新データで整合性を保たないのか。もしかしたら、疫病などによる死者数を隠するためかもしれない。

著名な人口学者である易富賢氏は21年末、ロイターが主催するイベントで、「2020年時点の中国の実際の人口は、公式発表の数値の14億1000万人よりずっと少ない。12億8000万人程度だ」とする見解を示した。

「過去3年に及ぶ新型コロナウイルスの天災に加え、中国共産党という愚かで残虐非道な政権による深刻な人災で、中国ではいったいどれほどの人が亡くなったのか」と言う問題に関して、外部から確証を得るのはほとんど不可能に近い。しかし、大勢が亡くなったことを物語る客観的証拠はある。

例えば、中国3大携帯キャリアの中国電信(チャイナテレコム)、中国聯通(チャイナユニコム)、中国移動(チャイナモバイル)が発表したデータによると、この3社は2019年12月から2020年2月までの3か月間で合計2107万件もの解約が確認された。当時、ネット上には火葬場で山のように積み上げられたスマホの写真が拡散され、話題となった。

この3大携帯キャリアのデータに基づいて大胆な推理をしてみよう。3か月で失われた携帯ユーザーが2100万人という割合で計算すると、2020年の通年の死亡者数は少なくとも8400万人に上る。携帯ユーザーではない老人や子供も大勢いることも考慮して、1年間の死者数を1億人としたら、2020年、2021年、2022年の3年間でおよそ3億という数字になる。

中国共産党に真実を期待しないで

中国共産党が真実の数字を提出することは期待できない。中国衛生当局のコロナ対応の専門家チームの梁万年氏は先月、「何人が死亡したのかにこだわる必要はない」と言い放った。

実際、中国共産党は中国人が何人死んだかということに関して、昔から関心がなかった。40年にわたる出産制限下の中絶の強要で、4億5000万人以上の赤ちゃんが殺されたが、彼らはこれを何とも思っていない。

毛沢東はかつて核戦争まで望んでいたといわれる。「できるだけ早く、大規模な核戦争をしなければならない。中国人が3億人死んだところで、何の問題もない」と毛は揚言していたという。

毛沢東が始めた「大躍進」政策がもたらした大飢饉によって4000万人以上の国民が餓死した。1961年、統計局は「全国で人口が数千万人減少した」と当時の周恩来首相に報告したが、周は「報告書の即破棄」と、「数字を外へ漏らさないよう」命じた。

その後の10年にわたる大規模な殺戮「文化大革命」で、またしてもどれだけの国民が命を落としたのか、いまだに謎のままだ。1980年、鄧小平はイタリア人記者のオリアーナ・ファラーチ氏に対し、「文化大革命で実際に何人死んだのか、それは天文学的な数字だ、永遠に推定できないだろう」と明かしていた。

これが中国共産党の生命に対する態度だ。彼らは今も過去も、どれほどの国民が死んだのか、気にもかけていない。

(翻訳編集・李凌)

姜光宇
俳優。時事コメンテーター。中国では人気歴史ドラマ『雍正王朝(1999年放送)』などに出演。2004年に渡米、新唐人テレビ(NTD)でニュースキャスターを務める。10種類以上の賞を受賞したノンフィクション映画「帰途(Origin Bound)」主演。米アコレード・グローバル・ フィルム・コンペティションの「最優秀主演男優賞」、第3回英国「ウェールズ国際映画祭」で最優秀主演男優賞を受賞。 現在は自身の動画番組「新聞最嘲點」で主に中国関連ニュースをユーモアたっぷりに解説する。新興プラットフォーム「乾淨世界(Ganjing World)」個人ページに多数動画掲載。
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