主権国家の権利侵すパンデミック条約…中国共産党の影ちらつくWHO(3)

2023/06/13
更新: 2023/06/14

(2)はこちら。

中国共産党WHOを代理人とし、米国に対する「ハサミ戦略」を始めるだろう。新たに進められているパンデミック条約がその引き金となる。

武漢でのウイルス発生は捨て駒で、その目的はWHOを駆動し、米国を包囲することだったのではないだろうか。「包囲」は囲碁に見られる中国の重要戦略だ。

今、WHOは政策変更を進めている。それによって、WHOがすべての加盟国に対して、予防接種、医療検査、DNA検査、健康診断を強制するようになる可能性がある。

WHOの事務局長が、国政選挙の直前に「健康上の緊急事態」を宣言すれば、大統領選挙に影響を与えることもできてしまう。監視と追跡を課すこともでき、データはWHOとその資金提供者の手に渡る。

これまで、中国共産党が米国民の詳細な情報を入手するのはそれほど簡単ではなかった。しかし今後は、米国市民の監視データが簡単に中国共産党の手に渡る可能性がある。

では、米国は中国市民の監視データにアクセスできるだろうか。なぜ国家主権と普遍的な人権を放棄しようとするのだろうか。連邦議会は問わなければならない。

このWHOの新たな政策によって、いわば全米国民の裏庭に中国共産党が忍び込めるようになった。

 社会問題も「健康上のリスク」か? 

新たな政策によると、権力側が定義する「健康上のリスク」には、実際の脅威だけでなく潜在的な脅威も含まれる。言い換えれば、WHO事務局長は、自分の意向で人々の「健康に対する潜在的なリスク」を宣言できるようになる。

それは、環境問題、気候変動、肥満、中絶、中絶禁止、社会問題にまで適用されるかもしれない。

仮に、事務局長が銃による暴力を「健康上のリスク」と定義した場合、WHOは人々を武装解除するための措置を講じることができる。また、「精神的健康に対する潜在的なリスク」として、キリスト教などの宗教団体を名指しした場合、事務局長は彼らを規制したり拘留したりできる。

中国共産党にとっては、願ったり叶ったりである。彼らがWHOの事務局長に対して、法輪功の精神修養が「精神的健康に対するリスク」であるとして、全面禁止措置を要求すれば、訴え起こす手立てはないだろう。

WHO事務局長が国際保健規則(IHR2005)とパンデミック条約という巨大な権限を備えてしまえば、彼はその立場を利用して、政治的偏見によって、あらゆる政治的議題を「世界の人々のリスク」とすることができる。その行き過ぎを防ぐ仕組みはない。

 巨大な権限の一元化

意見のバランスをとるために、WHOは諮問委員会を設置するようだが、 その委員会のメンバーは数人しかいない。 最近のサル痘健康評価では、諮問委員会の過半数がサル痘に「世界的な公衆衛生上の緊急事態」を宣言することに異を唱えたが、事務局長はそれを無効とした。言い換えれば、事務局長は、何を健康上のリスクとするかを決めるほぼ絶対的権限を世界規模で有している。

WHOが権威を振りかざして新型コロナワクチンを推奨し始めた当時、「ワクチンは善、批判は偽情報」と謳っていた。しかし、今年3月、彼らは立場を修正した。WHOの予防接種に関する戦略的諮問委員会(SAGE)は、生後6か月から17歳までの健康な子供に対しては、ワクチンの推奨をやめた。WHOが医師の懸念を偽情報だとはねつけていなかったら、この見解はより早く人々に伝えられたはずだ。

健康に関する対応の一元化は、必ずしも患者にとって最善の利益に繋がるとは限らない。では、なぜWHOにそのような権限を与えているのか。WHOの決定が悪い結果をもたらすかもしれないのに、彼らの中央集権的な指令のために、私たちが主権を放棄する価値が本当にあるのだろうか。

また、事務局長がそのような全体主義的な権限を備えている場合、次期局長選挙の投票に至るプロセスにおいて莫大な資金が注がれることで、汚職のリスクを生むことにならないだろうか。そうなればWHOはその中立的な使命を失い、党派性が表に出る危険がある。

新たな政策の採用は、冷戦中の軍拡競争さながらの「健康競争」に終わる可能性がある。人々の最大利益のための客観的な決定はできなくなるだろう。

 IHR改正案の草案では、「人間の尊厳、人権および基本的な自由を完全に尊重しなければならない」という文言が削除された。この改正案が拘束力を持てば、「パンデミック時にはより大きな利益のために人権抑圧が正当化される」という前提の下、人権は根こそぎにされる。これは、憲法で定められた自由が全体主義的な統制の犠牲となることに他ならない。

新たにWHOに導入される構造

ところで、普遍的な人権を放棄しようとする者などいるだろうか。権威主義政権くらいだろう。

習近平総書記は、西洋の「人権」という概念を高く評価していないようだ。人権は政府の手に委ねられるべきであり、一元化して人々をケアすべきだ、と彼は見ている。政府は国民に対して権威主義的な措置を講じることができるが、個人には権利がない。これが中国共産党の指導者の見解であり、新たにWHOに導入される構造だ。

言い換えれば、IHR改正案とパンデミック条約の成立は、億万長者や企業、敵国に私たちの主権を引き渡し、権限を付与するのと同じだ。国家は利益集団に屈服せざるを得ないことになるだろう。

ここで問題となるのは、「健康上の緊急事態」を宣言する絶対的な権力に潜む危険性だ。独立した思考を持ち、教育を受けた何千人もの医師の介入が、偽情報のレッテルを貼られ検閲されることになる。

(4)に続く。

この記事で表明された見解は著者の意見であり、必ずしもエポックタイムズの見解を反映しているわけではありません。

医学博士。医療倫理擁護団体「強制臓器奪取に反対する医師の会(DAFOH)」の創設者兼事務局長で、中国での臓器狩り問題に反対する世界的運動の主導者の一人。同問題に関する書籍を共著で多数出版し、医学雑誌にも広く発表している。 受賞歴のあるドキュメンタリー映画 「人狩り 中国の違法臓器売買」に出演したほか、書籍「中国の移植犯罪 国家による臓器狩り」の共同編集者も務めた。
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