金や米ドル、石炭、穀物を確保…「中国は戦争に備えている」米金融アナリスト

2023/07/15
更新: 2023/07/18

融アナリストのカイル・バス氏は12日、中国政府はこの数か月、金融市場で戦略的転換を行い、金や米ドル、石炭、穀物の確保に動いていることから「戦争準備をしている」との分析を示した。

中国習近平主席の言葉を分析してきたというバス氏は、第20回党大会の終わりに述べた、「我々は警戒感を強め、平和な時期に危機への備えをするべきであり、高波や嵐の海のような大きな試練に耐える覚悟を持つべきだ」という発言は、非常に暗示的なものであると指摘した。

習近平氏は、イエレン米財務長官が中国を訪れた6日、東部戦区指令部を訪問し、「戦区建設と戦時への備え」を指示した。この地域の部隊は台湾海峡も担当する。

福建省でシェルターや病院の建設

米シンクタンク・ハドソン研究所で講演したバス氏の分析によれば、中国が戦争を準備しているかどうかを理解するためには、3つの観点から考える必要があるという。まず、中国が軍事的に何をしているか、次に中国本土でどんな法整備をしているか、そして最後に中国が厳しい金融制裁から自身を守るために何をしているか、といった点だ。

中国の台湾に対する軍事行動を示す具体的な兆候として、解放軍が必要とする3つのシミュレーションのうち、すでに2つが実施されていることを指摘した。第3のシミュレーション、つまり上陸作戦はまだ行われていないが、それが実施されれば台湾攻撃の準備が整ったと判断するだろうと述べた。

また、中国福建省で世界最大の病院の建設と18の新しいシェルターの建設が進行中であることを指摘した。これらの情報は一時的にウェブサイトに公開されていたが、すぐに閲覧不可能になったという。福建省は台湾から対岸に位置している。

今年6月、中国は大規模な停電への対応能力を確保するために、台湾の対岸を含む本土東部地域で初の緊急訓練を実施した。さらに、数百万人が社会信用スコアが低いために飛行機や列車での移動が禁止され、移動許可のためには「献血」が推奨されているという。 

法の整備

次に、中国本土の資産や情報保護のため数々の法規制を実施していることについて語った。例えば今年4月、中国当局は国家安全保障に関連する情報の移転を禁じ、同情報の定義を広げるという包括的な改正を行った。これは、全ての中国企業が事実上、政府の延長線上に位置づけられる法的義務と責任を生み出したという。

このほか、中国政府は個人の資産を押収し、出国を防止する法的権限を得た。加えて、近日中にも「愛国教育」を推進する新法の制定が予定されている。

改正反スパイ法や企業データの国家セキュリティに関する新法をまとめる前、中国当局は米調査会社のミンツグループ、ベインキャピタル、キャップビジョンなどを恣意的に捜査した。一部従業員が拘束されており、不合理な取引を要求する恐れがあるとリスクを強調した。

国際制裁への備え

このほか、厳しい国際制裁に対する備えとみられるポイントについて分析した。原油とLNG、石炭を大量に輸入する中国は、エネルギーを確保するために、西側の制裁に協調しない国々との間で連携を深めようとしているという。その一部として、習近平氏が主席として初めてサウジアラビアを訪問したことや、中国側がスンニ派とシーア派を和解させ、イランとイラクとの対話を開始したことを挙げた。

また、中国大手国有銀行2社は過去20年来、航空大手ボーイングとエアバスの大量注文を続けてきたが、この数か月で売却する見通しだという。バス氏によれば、米ドル獲得のために“最高落札者”を探しているという。

金の保有量も増やしている。4月には8トンの金を追加し総保有数は2076トン、総額約1400億ドルに達した。これは中国の外貨準備高の3兆ドルと比べれば大きくはないが、国際制裁に従わない国に販売できる資産だと述べた。

さらに、中国の国家食糧戦略保護区管理部が昨年11月、食糧備蓄レベルを過去最高に高め、小麦は人口の1年半分を保持していると明らかにしたことを挙げ、「なぜそんなに多く保つ必要があるのか」と疑問を投げかけた。

中国が米国債を売却し、代わりにベルギーで機関投資家向け証券を購入しているという分析を紹介した。これは、米国が中国に対して制裁を実施した際に、欧州からの厳しい制裁を回避できるかどうかを見極めるための動きかもしれないとバス氏は推測している。

バス氏は有事リスクを強調しつつ、金融界の人々が人権問題を無視して中国との取引を続けていることについて強く批判した。そして、彼らが投資を失う日が来たときは「当然の報いだ」と強調した。

日本の安全保障、外交、中国の浸透工作について執筆しています。共著書に『中国臓器移植の真実』(集広舎)。
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