2025年4月29日、東京・永田町および霞が関で財務省や厚生労働省などの解体を訴える集会とデモ行進が行われ参加者は数千人にも及んだ。その中で多くの参加者が叫んでいたのは消費税の廃止という声だった。
消費税について、多くの人は長年「買い物をするたびに消費者が直接負担している税金」と考えているが、集会でこうした見方に疑問を呈する声があがった。
財務省前で行われた集会で登壇した元復興大臣政務官の安藤裕氏は、「消費税は事業者の売上に対して課される税金」で消費者が支払う商品価格の一部が消費税として扱われているものの、法的には事業者が納税義務者だと指摘している。このため、私達が感じている「消費税は間接税である」という一般的な説明は誤りだと述べた。
近年、物価高騰への対策として「食料品の消費税率をゼロにすべき」との主張が一部野党や与党内からも上がっている。立憲民主党は2025年夏の参院選公約として、食料品などにかかる軽減税率8%を1年間限定で0%に引き下げる政策を掲げた。
安藤氏は、「食料品の消費税ゼロ」による価格下落効果は限定的だと指摘している。想定ほど価格が下がらなかった場合、事業者への誤解や非難が生じ、農家や中小企業、飲食店などが値下げ圧力によって経営難に陥る恐れがあると懸念を示した。
食料品の消費税ゼロにする施策については他にも疑問視する声が上がっている。国民民主党の玉木代表は自身のXアカウントで「食料品の消費税ゼロによる一人当たりの年間負担減は約2万円強にとどまり、減税効果は限定的」と述べた。さらに、「食料品を仕入れて事業を行う飲食店は仕入れ税額控除が受けられなくなるため、かえって過度な税負担を強いられる」と警鐘を鳴らしている。
安藤裕氏は野党の「食料品の消費税ゼロ」提案について、ヨーロッパ諸国のように食料品の税率のみを下げ、標準税率を引き上げる道筋が敷かれる可能性を指摘。「食料品の消費税ゼロ」を主張する国会議員は財務省の方針に沿った政策誘導になる可能性もあるとの見解を示した。
消費税の本質や減税政策の効果をめぐり、国民の間で誤解や議論が続いている。現状では「食料品の消費税ゼロ」よりも、消費税自体の廃止を求める声も根強い。
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