日本電信電話(NTT)は8日、上場子会社であるNTTデータグループを完全子会社化すると正式に発表した。一般株主が保有する約42%の株式を、1株あたり4000円で公開買い付け(TOB)により取得する。買い付け価格は7日の終値(2991円50銭)に対して33%のプレミアムを上乗せした水準で、投資総額は約2兆3700億円にのぼる見通しである。
NTTは現在、NTTデータグループ株式の約58%を保有している。今回のTOBで残る全株式の取得を目指し、手続き完了後はNTTデータグループは上場を廃止する予定だ。TOBの期間は5月9日から6月19日までとなる。
今回の完全子会社化の狙いについて、NTTはグループ内の経営判断を迅速化し、NTTデータグループが強みとするITサービスやデータセンター事業の海外展開をさらに加速させるためと説明している。NTTデータグループは国内最大手のITサービス企業であり、世界でもトップ5に入る規模を誇る。データセンター事業でも世界3位にランクインし、顧客には米国の大手IT企業も多い。
また、NTTは2020年にNTTドコモを完全子会社化しており、今回の取引でグループ内の「親子上場」はすべて解消されることになる。これにより、グループ全体で経営資源の効率的な投入や、グローバルな競争力強化が期待されている。
NTTデータグループは1988年にNTTから分離し、1995年に東京証券取引所に上場した。2023年には現在の社名に変更している。2024年3月期の連結売上高は4兆3673億円で、NTTグループの中核子会社として国内外でITサービスやデータセンター事業を展開している。
今回の完全子会社化について、NTTデータグループはTOBへの賛同と応募推奨の意見を表明している。今後、手続きが順調に進めば、NTTグループのグローバル戦略において大きな転機となる見通しだ。
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