米国防長官が中国の軍事的脅威に対し、インド太平洋地域での軍備強化と最先端技術への投資を強調した。トランプ政権の「力による平和」戦略と日米同盟の強化、無人機・AI分野での米中競争の現状を詳しく解説した。
5月19日、ピート・ヘグセス米国防長官は、米中関係が緊張を増す中、米軍のインド太平洋地域への軍備強化と中国共産党(中共)への断固たる対応方針を改めて強調した。同日、ヘグセス氏は、米メディアのインタビューで「アメリカは中共に対して一切譲歩しない」と明言し、「あらゆる局面で相手の脅威に応じうる実力を備える」と述べた。
軍備競争で「常に先んじる」姿勢
ヘグセス氏は、「我々は常に平和的解決を望むが、そのためには最大限の強さが必要だ。あらゆる場面で彼らの脅威に対抗できる体制を整えなければならない」と語る。この日、彼は、複数の戦略会議に参加し、中共の様々なシナリオに応じた対応策を協議したと明かした。米国防総省は、技術優位と多層的戦術により、中共が行動を起こす際、米軍の技術力と抑止力を無視できない状況を作り出し、さらに強化中だという。
無人機・AI分野での脅威
インタビューでヘグセス氏は、中共が無人機や人工知能(AI)分野で急速に拡張していることが、現代戦争における新たな脅威であると指摘した。現在、中共は最大100機の小型無人機を同時運用可能な無人機母艦の開発を進めていると報告し、また、中国の大手無人機メーカー・DJIが世界市場の7割以上を占めており、その製品がアメリカの重要施設や航路などの機密情報を収集するリスクも指摘した。
ヘグセス氏は「米軍が保有または開発中の能力は詳細を明かせないが、全ての資金を未来の脅威に対応できる分野に集中投下中だ」と述べ、時代遅れの装備や発想ではなく、最先端技術への投資を強調した。
米軍、無人機部隊を加速配備
米国防総省は、無人機戦力の強化を急いでいる。今年3月にはバージニア州クアンティコ海兵隊基地で、初の攻撃型無人機部隊が正式発足した。第一人称視点(FPV)無人機を装備し、射程20キロ、1機あたり5千ドル未満というコストで小規模部隊に高い機動力と殺傷力をもたらした。
ヘグセス氏は、「我々は中共の意図と能力を把握し、将来の衝突を抑止できる米軍を構築中だ」とし、アメリカは、戦争を望まないが、万一の際は「圧倒的な勝利を収める」と自信を示した。
あらゆる分野で中共に「困難」を
ヘグセス氏は「我々はあらゆるレベルで中共に困難を作り出す」と語り、経済面でも中国と正面から対峙していると強調した。貿易関係の再構築も米中競争の一環であり、バランスの取れた関係が重要だとした。
このため、米国防総省は戦略の重心をインド太平洋地域に完全にシフトした。政策立案から軍事配備まで、全ての計画がこの方針に沿って進行中だ。ヘグセス氏は「初の外遊、予算編成、軍事演習、日々の会議 -全てがインド太平洋重視を反映した」と説明した。
欧州や中東の安全保障も無視していないが、中共の影響力が今後の世界戦略に与える影響はより深刻だとし、迅速な対応が不可欠だと強調した。
日米同盟・地域連携を強化
ヘグセス氏は就任後、ハワイ、グアム、フィリピン、日本などインド太平洋の要衝を歴訪して、現地部隊や同盟国に、「力による平和維持」というアメリカの戦略的メッセージを伝えた。
米軍再建の三本柱
ヘグセス氏は自らの軍事改革の柱として、「戦士精神の回復」「米軍力の再建」「抑止力の再構築」の三点を掲げる。戦士精神とは戦争準備、責任、殺傷力、実戦能力を重視し、「イデオロギー主導の政策」ではないと明言した。
また、トランプ大統領が米軍を全面的に支援し、史上初の1兆ドル規模の軍事予算を、提案する意向であることも明らかにした。
「ホワイトハウスでも海外でも、トランプ大統領は常に『アメリカ・ファースト』の視点で国家利益を追求していて、兵士や軍隊に対して『何が必要か、もっとできることはないか』と問い続けていて、これこそが『アメリカ・ファースト』と『力による平和』の融合だ」とヘグセス氏は語った。
今後の展望
アメリカは、今後もインド太平洋地域での軍事的優位を維持し、中共の軍事拡張に対抗していく方針だ。最新技術の導入と同盟国との連携強化を通じて、「力による平和」を実現し、地域の安定とアメリカの国益を守る姿勢を鮮明にした。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。