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トランプ大統領「台湾保証法実施法案」署名 米台関係強化​

2025/12/03
更新: 2025/12/03

トランプ米国大統領は12月2日、「台湾保証法実施法案」(Taiwan Assurance Implementation Act, H.R.1512)に正式に署名し、同法が成立した。 同法は、国務省に対し、現行の対台湾交流ガイドラインを定期的に検証し、その結果を報告するとともに、解除が可能な制限措置が存在するかどうかを評価するよう求めている。 台湾海峡の緊張が高まる中での今回の署名は、ワシントンが米台関係を一層強化する動きの一つと受け止められている。​

アメリカ議会の資料によると、この法案は国務省に対し、少なくとも5年ごとに1回、審査報告書を提出するよう求めている。 報告書では、関連する交流ガイドラインがどのように米台関係を深化させているかを明示するとともに、過去の歴史的要因によって形成された両国間の交流制限について、その解除の機会や可能性を評価することを定めている。​

この法案は、2020年に制定された「台湾保証法案」(Taiwan Assurance Act)の拡充版である。 従来は、国務省に一度だけの検証を義務づけていたが、新法ではこの仕組みを恒久的な制度とし、今後は5年ごとに少なくとも1回、包括的な見直しを行い、その完了から90日以内に議会へ報告書を提出することを義務づけている。​

アメリカは1979年に中華民国(台湾)と断交して以降、行政府が対台湾接触に関する一連の「レッドライン」を設け、米台双方の官員が接触するレベル、場面、公開性などに制限を加えてきた。 今回の立法の核心は、40年以上続いてきたが法的拘束力のないこれらの制限を解除するよう求めている点にある。​

法案はミズーリ州選出の共和党下院議員アン・ワグナー(Ann Wagner)氏が提出し、故民主党議員ジェリー・コノリー(Gerry Connolly)氏と民主党議員テッド・リウ(Ted Lieu)氏が共同署名した。 下院は今年5月、異議なしで可決し、上院も11月19日に全会一致で可決した結果、超党派の合意という近年では珍しい展開となった。​

ワグナー議員は声明で「この法案は北京に対し、明確なメッセージを送るものだ。すなわち、アメリカは中国共産党(中共)が地域を支配し、世界的に影響力を拡大しようとする危険な試みに断固反対するということを示している」と述べた。​

この法案への署名は、地政学的緊張が高まる時期に行われたものである。 先月初め、日本の高市早苗首相は国会答弁で、「台湾有事」をめぐる発言した。

高市氏の仮定的な発言は、台湾海峡情勢に対するアジア太平洋の同盟諸国の懸念を浮き彫りにしたものであり、同時にアメリカが長年維持してきた「戦略的曖昧さ」と呼ばれる政策とも呼応している。 この政策の下で、アメリカは台湾海峡で紛争が発生した場合に介入する選択肢を保持しているが、実際に台湾防衛のために出兵するかどうかは明言していない。 しかし、中共による軍事的圧力が強まる中で、この曖昧さな戦略は近年、ワシントンで一層注目と再検討の対象となっている。​

中華民国総統府は12月3日に声明を発表し、トランプ米大統領が「台湾保証法実施法案」に正式署名したことを歓迎し、感謝の意を表明した。 総統府報道官の郭雅慧氏は、「この法案の成立・施行は、米台交流の価値を確認し、より緊密な米台関係を支持するものであり、民主・自由・人権といった共通の価値に基づく米台関係の堅固な象徴であり、極めて意義深い」と述べた。​

アメリカ 中共による「2758号決議の誤用」に対抗​

今年初め、アメリカ下院は別の「台湾国際連帯法案」(Taiwan International Solidarity Act)も同時に可決した。 この法案は、中共が国連総会2758号決議(UNGA Resolution 2758)を「台湾には国連体系に参加する権利がない」と曲解していることに明確に異議を唱える内容となっている。​

近年、アメリカ政府は中共が台湾の国際機関参加を排除していると繰り返し批判してきた。 アメリカ側は今年4月、国連代表団および国務省の対外声明を通じて、中共が長年にわたり2758号決議を「政治的道具」として利用し、台湾を国連体系から排除してきたと非難した。​

アメリカ側は、2758号決議はあくまで「中国を代表する政権がどこか」という代表権の問題を扱ったものであり、台湾の地位には触れておらず、中共に台湾を代表する権限を与えたものでもないと強調している。 したがって、台湾を国際機関から排除する根拠として用いるべきではないと主張している。

王君宜
王君宜