トランプ米大統領は5月20日、新たなミサイル防衛システム「ゴールデンドーム」構想の正式な設計案が選定されたと発表した。宇宙配備型センサーや次世代迎撃技術を取り入れたシステムで、3年以内の運用開始を見込んでいる。大統領は「史上最高システムになる」と述べ、その性能に自信を示した。
「陸・海・宇宙を網羅し、宇宙配備型のセンサーや迎撃装置など、次世代技術が展開されることになる」と、トランプ氏はホワイトハウスで記者団に語った。
トランプ氏は就任初週にこの構想の策定を国防総省に指示する大統領令に署名しており、今回の発表はその進展を示すものとなる。
「私の任期中に完全運用を開始する予定だ。つまり、およそ3年以内に完成させるつもりだ」と大統領は述べた。
国防総省が選定した計画は、既存のアメリカのミサイル防衛システムと新技術を統合する内容で、完成には約1750億ドル(約25.5兆円)の費用が見込まれている。
また、カナダがこの強化型ミサイル防衛システムの開発に米国と協力する可能性についても言及。「カナダも参加を希望しており、比較的小規模な拡張にはなるが、価格面での協議を進める」と語った。
この構想には、宇宙配備型のセンサーや迎撃装置の刷新に加え、レーザーなど非運動エネルギーによる迎撃技術も含まれている。1月に発令された大統領令では、ミサイル発射前あるいはブースト(発射直後にロケットモーターを全開にして急上昇する)段階での迎撃技術の検討も国防総省に求めている。
トランプ氏は、この構想により、巡航ミサイルや極超音速弾道ミサイルへの対応力が大幅に強化されると強調。「ゴールデン・ドームが完成すれば、地球の裏側から発射されたミサイルや宇宙空間からの攻撃すら迎撃可能となる。史上最高のシステムになる」と自信を見せた。
発表にはヘグセス国防長官も同席し、1980年代にレーガン元大統領が提唱した戦略防衛構想(SDI)との類似性に言及。「レーガン元大統領が40年前に構想を打ち出した時代には、技術が追いついていなかった。今は可能であり、大統領はその実現に向けて動いている」と述べた。
議会共和党はすでに、軍事費の補正予算として1500億ドル規模の法案を提出しており、そのうち約250億ドルがゴールデン・ドーム計画の初期資金として割り当てられる見通し。この補正予算案は、与党側が上院でのフィリバスター(議事妨害)を回避するため、財政調整措置(リコンシリエーション)による可決を目指す大規模法案の一部を成している。
トランプ氏はこの法案の成立に自信を見せ、「必要な関係者とは、すでに全員話をつけてある。みな協力的だ」と語った。
さらに、宇宙軍副作戦部長のマイケル・ゲトライン大将をゴールデン・ドーム計画の責任者に任命したと明らかにした。
「ゲトライン大将は、防衛分野で世界でもっとも高く評価されている人物の一人だ」と述べた。
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