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日本の超長期国債金利が上昇 石破首相の「ギリシャより悪い」発言の影響も

2025/05/22
更新: 2025/05/22

日本の超長期国債の金利が市場参加者の予想を超えるペースで上昇している。背景には、石破茂首相が国会で「日本の財政状況はギリシャよりも悪い」と発言したことが影響している可能性があると、一部の市場関係者は指摘している。

2025年5月19日、石破首相は参議院予算委員会で、国民民主党議員の「財政的な制約があるから減税を躊躇しているのか」との質問に対し、「我が国の財政状況は極めて厳しい。ギリシャよりも悪い状況だ」と答弁した。この発言は国内外のメディアで報じられ、議論を呼んでいる。

石破首相は同答弁で、「税収は増えているが、社会保障費も増えている。減税の財源を国債で賄う考えには賛同できない」と述べ、財政規律の重要性を強調した。

この発言後、市場では日本国債の信頼性に対する懸念が一部で高まり、国債価格は下落し、超長期国債の利回りが上昇した。特に30年債や40年債の利回りは高水準に達しており、5月20日の20年国債入札では応札倍率が2012年以来の低水準を記録した。5月22日時点で、長期金利は1.545%で推移しているが、超長期債への売り圧力は続いている。

市場関係者の間では、石破首相の発言が国債市場に影響を与えたとの見方がある一方、発言以前から超長期国債金利の上昇傾向は続いていたとの指摘もある。海外メディアでは「日本の財政はギリシャより悪い」との報道が拡散し、投資家心理に影響を与えた可能性があるが、具体的な影響の程度は不明である。

石破首相の発言は、2025年7月の参院選を意識し、減税財源を国債で賄うことへの警鐘を鳴らす意図があったとの憶測も聞かれる。しかし、ギリシャの財政危機との比較は国内外で議論を呼び、市場の不安を増幅させた可能性がある。一方で、日本は世界最大の債権国であり、ギリシャとは経済構造が異なるため、比較の適切さに疑問を呈する声もでた。

今後の国債市場の動向は、日本銀行の金融政策や財政政策の展開に左右される可能性が高く、引き続き注視が必要だ。

大道修
社会からライフ記事まで幅広く扱っています。