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中国でCOVID-19が再流行 「鋭く焼けるような喉の痛み」 カナダや東南アジアでも死者増

2025/05/25
更新: 2025/05/25

中国ではCOVID-19の再流行が起きており、患者からは激しい焼けるような喉の痛みが報告されていると専門家は述べている。

中国を代表する呼吸器専門医で疫学者の鍾南山氏は、5月19日に中国メディアのインタビューで、今回の再流行では「刀片嗓」の症状がより顕著で、咳もより頻繁にみられると語っている。「刀片嗓」とは、中国で使われている表現で、ガラス片やカミソリの刃を飲み込んだような激しい喉の痛みを指す。

北京友誼医院感染症科の主任医師、李同曾氏は、中国メディアに対し、3月から始まった新たなCOVID-19の波は5月下旬にピークを迎える見込みだと述べた。

鍾氏によると、今回の流行で主流となっているのはオミクロンXDV変異株で、感染力は非常に強いものの、重症化率は比較的低いという。初期症状には発熱、頭痛、倦怠感、焼けるような喉の痛み、激しい咳などが含まれる。

彼は、流行はまだ「上昇段階」にあり、今後6~8週間続き、6月末には収束すると予想している。

中国のネットユーザーは、中国当局が厳しく情報監視するSNS「微博(Weibo)」で、この新しい変異株による苦しい体験をシェアしている。

「数日前の昼食時、同僚が激しく咳き込んでいて、食べ物を喉に詰まらせたのかと思った。彼女は今回のCOVIDの後遺症だと言っていた。主な症状を聞くと『刀片嗓』だと答えた」といったコメントが投稿されている。

他にも「刀片嗓にやられて、完全にぐったりしている」といった声や、「COVID後の刀片嗓は本当にきつい。腫れて痛くて、ほとんど話せない。何か即効性のある対処法は?」という投稿も見られる。

北京在住の女性は、中国語版エポックタイムズに「10日近く感染している。発熱、喉の痛み、血の混じった黄色い痰、鼻血、咳、くしゃみ、鼻水、めまい、無気力。恐ろしいです。くしゃみをしたら鼻血が出て、本当に怖かった。今回のCOVIDは重症すぎる」と語った。

データの欠如

中国当局は、特に死亡者数などの疫病データ隠蔽で長年批判されている。

微博で「COVID-19感染拡大」がトレンド入りしたものの、中国メディアは流行を控えめに報道し、専門家も当局のデータに重大な欠落や不十分な点があると指摘している。

カナダ中医学院の教授でKang Mei TCMクリニック所長の劉・ジョナサン博士は、中国疾病管理予防センター(CCDC)のデータに懐疑的で、3月の公式発表ではCOVID-19による死者は7人と報告されたと述べている。

「通常の流行状況で、これほど少ない数字はあり得まない。人口が少なく衛生環境の良いカナダでも、昨年8月から今年5月までにCOVID死者は1915人、月平均200人超だ。人口密度の高い中国で月7人だけというのは考えられない」とエポックタイムズに語った。

CCDCによれば、外来・救急患者は7.5%から16.2%に増加し、重症呼吸器感染症の入院患者は3.3%から6.3%に増加している。

ニューヨークの飛天大学生物医学部の助教授でエポックタイムズ寄稿者の林暁旭氏は、CCDCが最も重要なデータを報告していないと指摘した。

彼は、CCDCのデータは新型コロナウイルスの陽性率の増加しか反映しておらず、確定症例数、入院率、重症化率、死亡率という4つの重要な指標が欠落していると述べた。これらは流行の実態把握に不可欠だ。

また、中国当局は過去にも情報を過度に隠蔽してきたと語った。

アジアでのCOVID-19感染急増

COVID-19感染はシンガポール、タイ、マレーシア、台湾、香港でも増加している。

香港の衛生防護センターは8日、過去4週間で主要なCOVID監視指標が1年ぶりの高水準となり、成人死者が31人に上ったと発表した。

シンガポール保健当局は5月13日、4月27日~5月3日の感染者が約28%増の1万4千人超えとなり、入院者も30%増加したと報告した。

台湾CDCも5月以降感染者が大幅に増加し、6月にピークを迎える見込みだとしている。

鍾氏は、病原学的観点からCOVID-19ウイルスは生存のために弱毒化する可能性があるが、今後インフルエンザのようになるかどうか判断するには時期尚早だと述べた。

ただし、COVID-19ウイルスが消滅することはないと断言している。

Mary Man
NTDの記者。世界中を旅し、中国、国際ニュース、芸術文化などを取材してきた。