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ウクライナとロシア 捕虜交換などで一部合意 2回目の停戦協議

2025/06/03
更新: 2025/06/03

ウクライナとロシアの代表団は6月2日、トルコで協議し、重傷者と25歳以下の捕虜の全員を交換することで一致した。今回の停戦協議を約1時間で終えた。ウクライナ側の代表団をウメロフ国防相が、ロシア側の代表団をメジンスキー大統領補佐官が率いた。

ウクライナのゼレンスキー大統領は同日、新たな捕虜交換に向けた準備が進められていると述べたうえで、ウクライナ代表団がロシア側に対し、強制連行されたウクライナの子どもたちの帰還を求めるリストを提出したことを明らかにした。5月の前回交渉では、双方合わせて約1000人の捕虜が交換された。

トルコのフィダン外相は、今回の交渉の目的について「停戦条件の確認、捕虜交換の促進、そして両国首脳の直接会談の可能性を探ることだ」と述べ、「世界中がこの交渉に注目している」と強調した。

ウメロフ氏は交渉後の記者会見で「我々は即時かつ無条件の戦闘停止を求めている」と発言。ウクライナ側は数日前に自国の停戦条件を提示していたが、ロシアからの回答は交渉当日まで届かなかったと述べた。

今後は1週間かけてロシアの要求を精査する方針だという。ウメロフ氏は「本格的な和平交渉は国家首脳レベルで行うべきだ」と語った。米大統領を含む各国首脳の関与にも期待を示し、「この戦争は終結しなければならない。世界は我々を支持している」と訴えた。

交渉は、ウクライナ軍がロシアの戦略爆撃機の拠点を狙った無人機攻撃を実施した直後に行われた。ウクライナ側は、ロシアの核攻撃能力にとって中核となる航空基地に大きな損害を与えたと主張している。

ゼレンスキー氏は6月2日、「ロシアはさらなる損失を被ることで、交渉に応じるようになるだろう」と述べ、「ロシアはその損失の重みを実感しなければならない。それが外交に向かわせる道だ」と語った。

この広範な攻撃は、ウクライナから2500マイル以上離れたロシア国内の基地を含む複数のタイムゾーンにまたがっており、基地付近に停車したトラックから発進された商用ドローンが使われたとされる。

一方、ロシアは6月1日、報復措置として472機のドローンをウクライナに向けて発射。民間施設を含む広範囲が攻撃され、ウクライナの防空網を圧迫する試みとみられる。

こうした緊張の高まりの背景には、トランプ氏が求める「即時停戦」の要求にロシアが応じていないことがある。ゼレンスキー氏はトランプ氏の要求を受け入れているが、プーチン氏は一連の変動的な要求を突き付け、停戦への具体的な合意を拒否している。

ロシア側の要求には、ドネツク、ヘルソン、ルハンスク、ザポリージャの東部4州のウクライナからの割譲が含まれるが、ロシア軍は戦争開始から3年経った今もなお、これら地域の完全な制圧には至っていない。

プーチン政権のこうした「遅延戦術」について、米政権は不満を強めており、JD・ヴァンス副大統領は先月、欧州の防衛当局者に対し「プーチンは要求が多すぎる」と非難した。また、「アメリカは今後も数週間ごとに両国に要求を提示し続ける」とし、いずれか一方が交渉に誠実でないと判断されれば、「停戦交渉から手を引き、両国に戦わせるしかない」と述べた。

また、米議会の一部議員らは、ロシアが誠実な交渉姿勢を示さない場合、追加制裁を科す可能性があると警告している。

エポックタイムズ特派員。専門は安全保障と軍事。ノリッジ大学で軍事史の修士号を取得。