三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行の大手3行が、ATM(現金自動預払機)の共同化に向けて具体的な検討に入ったことが6月4日、各行関係者への取材で明らかになった。ATMの維持管理にかかるコスト削減を主な目的としており、キャッシュレス化の進展によるATM利用者の減少を背景に、重複するATMの集約やサービスの統一化など、金融サービス全体に大きな変化をもたらす可能性がある。
三菱UFJ銀行と三井住友銀行は2019年から店舗外ATMの共同利用を進めてきたが、今回新たにみずほ銀行も加わる方向で、3行による共同化の具体的な議論が始まった。すでに担当者レベルで協議の枠組みが整えられており、今後はATMの利用手数料の統一や、セキュリティの確保、サービス内容の調整などについても議論を進める見込みである。
ATMの共同化が実現すれば、設置場所や台数で競争してきた従来の体制が大きく変わる。今後は、必要なインフラの数を維持しつつ、重複するエリアのATMを集約することでコストを抑え、利用者の利便性を損なわずに効率化を図る狙いがある。ATMの運営には警備や現金の輸送など多くのコストがかかっており、キャッシュレス決済の普及によって利用者が減少する中、各行にとってATMの維持は大きな負担となっていた。
ただし、3行のATMは機器メーカーやシステムが異なるため、今後は通帳やカードの仕様、ATM機器の調達先などの調整が課題となる。協議はまだ初期段階であり、実施時期などは未定である。三菱UFJ銀行の広報担当者は「決まった事実はない」とし、三井住友銀行、みずほ銀行からも現時点で公式なコメントは出ていない。
ATM共同化の背景には、メガバンク各行が過去最高益を記録しつつも、経営効率の向上が課題となっている現状がある。株主資本利益率(ROE)や株価純資産倍率(PBR)などの指標で、米国の大手銀行と比べて見劣りする中、経費圧縮は喫緊の課題となっている。
今後の協議の進展によっては、ATMの設置場所や利用手数料、サービス内容に変化が生じる可能性があり、利用者や金融業界全体に与える影響が注目される。現時点では、具体的な運用開始時期や詳細なサービス内容については決まっていない。今後の動向が注目される。
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