厚生労働省が公表したデータによると、2025年3月下旬から6月上旬にかけて、日本国内の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染者数は明確な減少傾向を示している。全国の定点医療機関あたりの報告数は、3月末の2.92から6月初旬の0.84へとおよそ70%減少した。
この定点当たり報告数は、全国に設置した特定の医療機関からの患者報告に基づく指標で、感染状況を把握するための重要な基準となっている。都道府県別でもほとんどの地域で報告数は減少しており、たとえば北海道では3月末の2.87から0.79に、東京都では1.93から0.84に下がった。一方で、沖縄県では最新の報告数が2.76と全国平均を大きく上回っている。
この間、厚労省は4月7日より新たな「急性呼吸器感染症サーベイランス」を導入し、定点医療機関の設置基準や報告方式の変更が行われた。
一方で、東アジアや東南アジアの近隣諸国では感染再拡大の兆しが強まっている。香港の衛生防護センターは6月8日、過去4週間で新型コロナ関連の主要監視指標が1年ぶりの高水準に達したと発表。成人の死者は31人に上り、地域社会での影響が再び拡大しつつある。
シンガポール保健省も5月13日、4月27日~5月3日の1週間で感染者数が前週比28%増の約1万4千人に達し、入院者も30%増加したと報告した。台湾でも、疾病管制署(CDC)が5月以降に感染者が大幅に増加し、6月にピークを迎えるとの見通しを明らかにしている。
こうした中、中国CDCの顧問を務める鍾南山氏は、ウイルスは病原学的に弱毒化する可能性があるとしつつも、「今後インフルエンザのような存在になるかどうかは、時期尚早で判断できない」と慎重な見方を示している。
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