安徽省合肥市にある診療所が、開業にあたって掲げた「点滴半額」の横断幕が、SNS上で波紋を広げた。赤地に白抜きの宣伝文句、──「診所開業、点滴半價」だが、それを見た市民の多くは、戸惑いと違和感をあらわにした。
「命を扱う場でセールをするとは」「半額だからといって、もう1本点滴しようとは思わない」と、ネット上には皮肉や批判の声が相次いだ。
6月12日、診療所側は、こうした反応を受け、メディアの取材に対し「風邪や咳といった軽症の点滴治療に限った宣伝であり、あくまで集客のため」と釈明。現地の衛生当局も「表現がやや不適切だった」と認め、「横断幕の撤去を指示するつもりだ」と明らかにした。
医療費の高騰や不要な点滴治療が問題視される中国では、こうした「医療の商業化」に対する不信が根強い。今回の「点滴半額セール」は、その不信をさらに加速させる形となった。
ネット上では、「薬棚に埃が積もってもよい。世に病人がいないことを願う(寧願藥櫃五尺塵,但願世上無病人)」という古代中国の診療所の理念を引き合いに出し、「時代は変わり、人も変わった。今は金がすべて」と嘆く声が広がっている。
医は仁術か、それとも商売か……。問われているのは中国だけではない。
なお、「仁術(じんじゅつ)」とは、中国古代の儒教思想に基づく言葉で、特に医療において「仁(思いやり・慈しみ)の心をもって人を救う技術」を意味する。

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