欧州連合欧州委員会は20日、中国市場においてEU企業が公正な参入機会を得ていないと判断し、600億ユーロ超の医療機器に関する公共調達から中国企業の参加を排除する方針を示した。この措置により、欧中間の貿易摩擦はさらに先鋭化する見通しだ。
EUは2022年に導入した「国際調達手段」を今回初めて正式に発動し、医療用画像装置、人工臓器、医療用衣服などを含む600億ユーロ超の公共調達案件から中国企業を除外した。この制度の目的は、EU企業に対して他国でも対等な市場機会を確保させることにある。
欧州委員会はこれまでも、中国政府が医療機器入札において自国企業を優遇し、外国企業に対して不利な条件を設けてきたと断じてきた。特に中国メーカーが異常に低い価格を提示する構造により、通常の利潤を追求する欧州企業は競争の場から排除されていると分析している。
近年、欧中関係は緊張を深めてきた。EUは中国製電気自動車に追加関税を課し、中国は対抗措置として欧州産ブランデーに調査を実施し、レアアースの輸出も制限した。今回の新たな制裁的措置は、EUと中国共産党(中共)の対立を一層激化させる要素となる。EUは7月に予定されている欧中首脳会議において、これらの対立点に対する政治的解決を模索する構えだ。
欧州委員会は同日、今後中国企業を500万ユーロを超える政府調達案件からも排除する方針を明確にした。
EU当局によれば、2023年のEU医療技術市場の規模は約1500億ユーロであり、その約70%が公共調達によって占められている。入札金額が500万ユーロを超える案件は全体の4%にとどまるが、金額ベースでは60%に達する。
さらに、新たな規定では、落札企業が最終的に供給する医療機器の中で、中国製品の構成比率が50%を超えることを禁止している。ただし、市場において代替供給源が存在しない場合は例外となる。
一方、中共商務部はEUとの間で協議を通じた解決を模索している。EU側は中国からの具体的な是正措置の提案をまだ受け取っていないが、交渉によって合意に至る可能性を排除していない。
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