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日本人にも影響拡大 中国「反スパイ法」に外務省が強い警告 過去に邦人17人拘束の現実

2025/07/23
更新: 2025/07/23

日本の外務省は7月22日、中国における「反スパイ法」および国家秘密保護法の運用に関して、日本人を含む外国人が厳しい規制の対象となる可能性が高まっているとして注意喚起を発出した。この発表は、中国北京市の第2中級人民法院(地裁)が16日、スパイ活動を行ったとしてアステラス製薬の日本人社員に懲役3年6月の実刑判決を言い渡したことを受けて行われたものである。

外務省によれば、2014年以降、17人の日本人が中国当局によって「国家安全」に関する罪で拘束されており、現時点でも5人が拘束中であるという。

中国の法律は「国家安全に危害を与える」と判断される行為について幅広く規定しており、「刑法」「反スパイ法」、さらには「軍事施設保護法」や「測量法」などがその対象となっている。これらの法律に違反すれば、拘束や起訴、さらには懲役などの重い刑罰を受けるおそれがある。実際に裁判で有罪となれば、厳しい刑事罰が科される可能性も指摘されている。

反スパイ法の改正で特に注意が必要なのは、「スパイ行為」の定義が極めて広範である点だ。外務省の注意喚起では、中国国内での情報取得や収集、調査活動なども、場合によってはスパイ行為とみなされるおそれがあるとされている。たとえば、中国政府や企業の秘密、国家のインテリジェンスを持ち出したり、国外の組織に提供したりすることだけでなく、そうした情報を入手・保持しただけでも厳罰の対象になる場合がある。軍事施設関連の立ち入り、GPSを使用した無許可の測量や地理情報の取得、生態・考古調査なども、国家安全当局から取締りを受けるリスクがある。手書きの地図を所持しているだけでも違法行為とみなされる余地がある。

さらに「統計法」では、外国人が中国国内で許可なく統計調査やアンケートを実施することが禁じられており、学術調査や情報収集の活動も慎重に対応することが求められている。共同調査の相手となる中国側機関と十分な打ち合わせを行ったうえで、違法行為に該当しないように事前確認が不可欠とされる。調査対象となるのは直近の中国滞在時の行為だけでなく、過去の活動や中国国外での行動も含まれることがある。

2023年改訂の反スパイ法第4条では、スパイ行為について「スパイ組織およびその代理人が実施する、または資金援助や指示で実施する活動」のほか、「スパイ組織への参加」「国家秘密やインテリジェンスの窃取・買収・不法提供」などが詳細に定められている。しかし、どの団体や人物が「スパイ組織やその代理人」と見なされるのか明確な基準が示されておらず、実際の運用ではさまざまな行動が広くスパイ行為と解釈される可能性がある。当局による判断基準の不透明さや予見不能性についても、外務省は警戒を呼びかけている。

今回の注意喚起は、日本人を含め中国に渡航・滞在する多くの人々にとって極めて重要な情報となる。心配がある場合には、最寄りの在中国日本大使館や外務省に早めに相談することが勧められる。

大紀元エポックタイムズジャパンの速報記者。主に軍事・防衛、安全保障関係を担当。その他、政治・経済・社会など幅広く執筆。