【ニュースレターが届かない場合】無料会員の方でニュースレターが届いていないというケースが一部で発生しております。
届いていない方は、ニュースレター配信の再登録を致しますので、お手数ですがこちらのリンクからご連絡ください。

台湾リコール運動が全件否決 中共介入への疑念とねじれ国会の波紋

2025/07/28
更新: 2025/07/28

台湾で国民が自ら国民党の議員に対して不信感を示し、リコール運動を起こした。しかし国民投票の段階になって24人のリコールは全て不成立となった。ロイター通信などが伝えた。

リコール(解職請求)運動は、当該議員が中国政府に接近していると非難する市民団体が推進。野党(中国国民党・台湾民衆党)が立法院に提出した「立法院職権行使法」など「立法院の権限を不当に強化させようとしている」として反対する民衆が立法院外に集まって抗議を行っていた。

また2024年4月27日、国民党の傅崐萁議員が北京を訪問し、中国共産党(中共)序列第4位の王滬寧と会談したことがも問題視されており、この訪問が、改正法の推進に間接的に影響を与えた可能性が指摘され、台灣の民主主義や主権が脅かされる危険性があると批判されていた。

台湾で対中政策を担う大陸委員会は、7月23日、立法院(国会)の全議員の約2割に相当する野党・国民党の議員24人を対象に、7月26日に解職の是非を問う住民投票が実施されるのを前に、中国が「明らかに」台湾の民主主義に干渉しようとしていると非難していた。

リコール運動が始まった背景には、2024年の選挙で与党・民進党が政権を維持したにもかかわらず、国会(立法院)では最大野党・国民党が過半数を握り、与党の政策遂行が困難になる「ねじれ状態」が生じた事実がある。

一方で、台湾政府の中国大陸・香港及びマカオに関する業務(両岸問題)を担当する特別行政機関、大陸委員会はフェイスブックへの投稿で、台湾研究機関IORGの調査を引用し、「中国共産党の介入を拒否する」と表明。「台湾の民主的な運営に介入しようとする中国共産党の試みは明白だ」としていた。

東部・花蓮県で26日、同県選挙区選出の傅崐萁(ふこんき)立法委員に対して行われた住民投票では中央選挙委員会によれば、反対が6万5300票で、賛成の4万8969票を上回った。投票率は60.1%と非常に高い投票率だった。

国民党は今回のリコールについて、「昨年の立法院選挙の結果を尊重しない、民主主義への悪意ある攻撃だ」「民進党や市民団体が社会の対立を引き起こしている」などと非難している。

今回の結果について民進党の林右昌秘書長(幹事長に相当)は台北での記者会見で、真摯(しんし)に受け止め、国民の声に応えていくと述べたとブルームバーグが伝えている。また、中国が台湾の内政に干渉しているとの主張を改めて示しており、林秘書長は「この前例のない市民運動は、反共産主義と台湾防衛の必要性から出発したものだ」と強調していたという。

一方で国民党の朱立倫主席(党首)は台北で記者会見し、有権者に謝意を示すとともに、頼清徳氏に謝罪と自らの統治を反省するよう求めたとロイター通信は伝えている。

エポックタイムズの記者。東京を拠点に活動。政治、経済、社会を担当。他メディアが報道しない重要な情報を伝えます