中国映画「南京写真館」が公開され、子供の反日感情を煽るとして社会的な議論を呼んでいる。
中共は抗日戦勝80周年に合わせ、夏休みに複数の「愛国映画」を公開した。その中でも「南京写真館」は興行収入で突出し、反日感情を煽ることで中国の子供たちに深刻な影響を及ぼしている。映画鑑賞後、子供たちは日本地図の上に道具を叩きつけ、「日本人を皆殺しにしたい」と叫ぶ行動を取っている。学者たちは、この映画が中共の政治的意図を反映していると指摘する。
「南京写真館」が反日感情を煽り、物議を醸す
中国本土のメディアは、8月4日時点で「南京写真館」の公開11日目にして興行収入が15億7千万人民元(約320億円)に達したと報じた。
この映画は南京のある写真館を舞台に、15歳の少年が見習いとして働く物語である。少年は、日本軍の将校が持ち込んだ2巻のフィルムを現像する過程で、虐殺や婦女暴行、略奪といった日本軍の暴行を記録した写真を発見し、命懸けで数十枚の写真を保存した。そして、その中から16枚を選びアルバムを作成した。このアルバムは1946年2月の日本人戦犯裁判で証拠として使用された。
ジャーナリスト矢板明夫氏は8月5日、Facebookで「この映画は実際の歴史事件に基づくと宣伝しているが、多くの日本の歴史家が史実と異なる矛盾点を指摘している」と述べた。当時、日本軍の従軍カメラマンは、勇敢な戦いや現地民から歓迎される場面を撮影する任務を担い、日本軍の市民虐待を意図的に撮影することはなかった。また、カメラマンは自前の現像機材を持参し、軍事機密になり得る写真を地元の写真館で現像させることも通常行わなかった。矢板氏は「この映画はフィクションに過ぎない」と断言した。
「南京写真館」が南京大虐殺をテーマにしているため、中国のネット上では日本に対する憎悪のコメントが溢れている。一方で、主流の「愛国」感情とは異なる意見を表明する者に対しては、誹謗中傷や通報が相次いでいる。
子供たちの反日的行動とその危険性
セルフメディアの「シドニーパパ」はXに投稿し、「友人の協力を得て、Xiaohongshu(小紅書)やDouyin(抖音)から「南京写真館」を観た後の子供たちの反応を収めた動画を多数収集した。これらは親がSNSに投稿した公開動画のみである」と説明した。
さらに、Xのユーザーは「『南京写真館』を観た子供たちが泣き叫び、歯ぎしりしながら日本人を皆殺しにしたいと語る動画をいくつも見た。日本の中国侵略は大罪であり、侵略や殺戮は断固として非難されるべきだが、中共が続ける世代を超えた愚弄を止めることができない現実が悲しい」と嘆いている。
河南省の9歳の男の子は「南京写真館」を観た後、怒りに任せて大切にしていた日本のアニメカードを破り捨てた。
昨年6月に発生した蘇州の刺傷事件、9月の深センでの10歳の日本人男児刺殺事件、そして今年7月31日の蘇州地下鉄での日本人母子襲撃事件、更に中国人による靖国神社石柱の落書きなど、一連の暴力事件に対して、中共政権が推進する反日憎悪教育と宣伝が背景にあるとの見方が広がっている。
矢板明夫氏は「最近、中国に住む日本人が日本の友人に『状況が悪化している。「南京写真館」が新たな反日ブームを引き起こしており、中国訪問は控えるべきだ。また、日本国内でも中国人が多い場所は避けた方が良い』と警告している」と述べた。
映画による世論操作とその意図
オーストラリア在住の歴史学者・李元華氏は大紀元の取材に対し、「中共はあらゆる機会を利用して国民に反日・反米感情を植え付けている。これは国内問題から国民の目を逸らすための常套手段であり、「南京写真館」だけが特別な存在ではない。中共が長年続けてきた戦略である」と語った。
李元華氏はさらに「日本は長年にわたり、中国に対して援助資金やプロジェクトを提供してきた。しかし中共はその事実を国民に知らせていない。例えば、北京の中日友好病院は日本の資金で建設されたが、多くの中国人はその事実を知らない」と指摘した。
李氏は「中共は抗日戦争を題材にした映画を推進することで、抗戦の真実を隠そうとしている。実際に当時、日本軍と戦ったのは国民党軍であり、中共は日本軍と正面から戦わず、むしろ国民党軍を背後から攻撃し、中国を裏切り続けてきた。「南京写真館」は中共が長年にわたって撒いてきた嘘の産物に他ならない」と結論付けた。
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